令和4年度 第 1 次試験問題 経営法務 第十一問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

 

不正競争防止法についてです。この法律も、中小企業診断士資格試験において、重要な法律ですので、Wikiを読みつつ、問題から深堀していきましょう。以下のWikiの記載部分くらいは、軽く目を通しておいた方が良いでしょう。

 

不正競争防止法 

不正競争防止法(ふせいきょうそうぼうしほう、平成5年5月19日法律第47号)は、公正な競争と国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止を目的として設けられた、日本の法律である。経済産業省が所管する。

条文上は、その第1条(目的)に「この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と規定される。

 

不正競争防止法の意義
市場経済社会が正常に機能するためには、市場における競争が公正に行われる必要がある。したがって、たとえば、競争相手を貶める風評を流したり、商品の形態を真似したり、競争相手の技術を産業スパイによって取得したり、虚偽表示を行ったりするなどの不正な行為や不法行為(民法第709条)が行われるようになると、市場の公正な競争が期待できなくなってしまう。また、粗悪品(欠陥・不良品)や模倣品などが堂々と出回るようになると、消費者も商品を安心して購入することが出来なくなってしまう。以上のように、不正な競争行為が蔓延すると、経済の健全な発展が望めなくなることから、市場における競争が公正に行われるようにすることを目的として、同法が制定されているものである。

不正競争防止法では、保護する対象に対して、行為の規制(禁止)となる要件を定めることで、信用の保護など、設定された権利(商標権、商号権、意匠権等)では十分守りきれない範囲の形態を、不正競争行為から保護している。

実質的には、不競法の条文が適用される場合に、一定の要件が求められることから、知的財産(無体物)等の権利が設定された場合と同様な効能を有するとも解することができる。

保護 規制行為 要件 期限
営業秘密の保護 営業秘密や営業上のノウハウの盗用等の不正行為を禁止
  • 秘密情報に有用性があること
  • 秘密管理性を有すること
  • 非公知性を有していること
期限なし
デッドコピーの禁止 他人の商品の形態(模様も含む)をデッドコピーした商品の取引禁止
  • 模倣商品の様態が元の商品と酷似していること
販売開始日から3年
信用の保護 周知の他人の商品・営業表示と著しく類似する名称、デザイン、ロゴマーク等の使用を禁止
  • 商品・営業表示に周知性を有していること
  • 模倣商品と混同のおそれがあること(類似性)
期限なし
他人の著名表示を無断で利用することを禁止
  • 営業表示に著名性を有し特別顕著性を有すること
  • 営業上の利益を侵害していること
制限なし
技術管理体制の保護 コピー・プロテクション迂回装置(技術的制限手段迂回装置)の提供等を禁止
  • 技術的制限手段が存在すること
  • 迂回装置の提供をしていること
制限なし

 

「不正競争防止法」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年10月21日 (金) 19:36 UTC、URL: 不正競争防止法 - Wikipedia

 

特に、表内の内容に関しては、問題になりやすい範囲です。内容を理解しておきましょう。

営業秘密の保護

競合他社など外部に対して、自社のノウハウなど営業上の秘密情報を区分して保護するための条項です。営業秘密に認定されるのは、表内にある通り、「秘密情報に有用性があること」、「秘密管理性を有すること」、「非公知性を有していること」が要件となってきます。期限などは特に設けられておらず、営業秘密として認められた情報は、永久に保護対象となります。

デッドコピーの禁止

他社の商品を、そのままコピーして売ったらだめですよーっていう、当たり前な条項になります。 要件としては、「模倣商品の様態が元の商品と酷似していること」になります。際どい商品はよくいろいろとありますよね。ここで重要なのが販売開始日から3年となっており、3年経過すると適用対象外となります。また、この販売開始日とは、日本国内においての販売開始日からのカウントになります。

信用の保護

 他社や他社製品のロゴマーク、他社名や他人の著名など勝手に使うことを禁止しますよっていう条項です。要件が、「商品・営業表示に周知性を有していること」、「模倣商品と混同のおそれがあること(類似性)」、「営業表示に著名性を有し特別顕著性を有すること」、「営業上の利益を侵害していること」が、あたります。これらには、期限はなく永久に保護対象となります。

技術管理体制の保護

コピー・プロテクション迂回装置(技術的制限手段迂回装置)の提供等を禁止です。CD/DVDのコピー・プロテクションや、電子カード等ですね。そういったもののコピープロテクションを不正に破り、コピーしてしまうことを禁止するということです。「技術的制限手段が存在すること」、「迂回装置の提供をしていること」が要件となり、期限はありません。

 

では、問題を見ていきましょう。

 

1.不正競争防止法第 2 条第 1 項第 1 号に規定する、いわゆる周知表示混同惹起行為において、「人の業務に係る氏名」は「商品等表示」には含まれない。

~~~第2条 抜粋~~~

 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

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覚えていればあっさりなところですが、なかなかひとつひとつを覚えているかというところです。「人の業務に係る氏名」は、商品等表示に含まれます。商品等表示に含まれるかどうかって、知らないと判断が厳しい気はします。

が、氏名についても、勝手に他人の、しかも周知された氏名を使ってはいけないことは、想像がつくかと思います。このように紛らわしい表示をすることを、「周知表示混同惹起行為」と呼びます。

以上から、説明については誤りとなります。

 

2.不正競争防止法第 2 条第 1 項第 3 号に規定する、いわゆるデッドコピー規制による保護期間は、外国において最初に販売された日から起算して 3 年を経過するまでである。

デッドコピーに関してです。

~~~第2条 抜粋~~~

他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

~~~~~~~~~~~~

保護期間については、3年で正しそうですが、「外国において」となっていますね。3年というのは、日本国内における販売日からになりますので、これは誤りです。

 

3.不正競争防止法第 2 条第 1 項第 3 号に規定する、いわゆるデッドコピー規制の要件である「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう旨が、不正競争防止法に規定されている。

 これも、シビアな問題です。不正競争防止法には以下のように記載があります。

~~~第2条 抜粋~~~

この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。

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これが正解となるのですが、なかなか厳しいですね。意味合いから正しそうだな~っていうのは思うでしょうか、依拠してとか、実質的に同一とか、そういう意味合いでいいのか悪いのか、迷います。ちなみに「依拠して」とは、よりどころにするという意味です。

 

4.不正競争防止法第 2 条第 1 項第 11 号乃至第 16 号で保護される限定提供データは、技術上の情報のみを指す。

~~~第2条 抜粋~~~

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為(以下「限定提供データ不正取得行為」という。)又は限定提供データ不正取得行為により取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為

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これは、コピー・プロテクションがかけられたデータ全般的なものですので、技術上の情報だけではなく、CD/DVDなど音楽データ・映像データ等、様々な情報が含まれます。よって、誤りです。

 

以上より、3が正解となります。