令和4年度 第 1 次試験問題 経営法務 第七問 問題

問題

 

 
問題文

X株式会社(以下「X社」という。)は、Y株式会社(以下「Y社」という。)、Z株式会社(以下「Z社」という。)とともに、国内に 3 社が出資する合弁会社(株式会社の形態)を設立して、共同事業を行うことを検討している。


以下の会話は、X社の代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話の中の空欄A~Dに入る数値と語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

甲 氏:「先日、Y社の担当者とZ社の担当者との間で、合弁会社の設立についての会議をしました。合弁会社が実施する業務や弊社、Y社、Z社の役割分担については、だいたい意見が一致したのですが、出資比率をどうするのかで、なかなかまとまっていません。合弁会社の出資比率をどの程度にするのかは、どのような視点から検討すればよいのでしょうか。」


あなた:「出資比率をどうするのかはとても重要です。合弁会社で、議決権制限が付いていない普通株式のみを発行する場合、出資比率は、議決権比率となります。定款で特別に定めをしない場合、X社の出資比率を [   A   ] とすると、合弁会社の株主総会におけるいわゆる普通決議事項について拒否権を有し、単独で議案の可決を阻止することができます。また、X社の出資比率を [   B   ] とすると、株主総会のいわゆる [   C   ] 事項について単独で決定権を有することになります。」


甲 氏:「なるほど、出資比率というのは大切なのですね。でも、出資比率を大きくすると、それだけ合弁会社の事業が立ち行かなくなった場合の責任も重くなると思います。出資比率を大きくしなくても、重要な事項の決定については、弊社の意見を反映させたいと思います。どうすればよいでしょうか。」


あなた:「合弁会社の株主間契約で、重要な事項の決定は株主全員の合意によることとする定めを置いたり、事案によっては、定款で株主総会や取締役会の定足数・決議要件を加重することを定める場合もあります。合弁会社の株主間契約で、重要な事項の決定は株主全員の合意が必要と定めた場合、株主全員の合意が得られず、重要な事項が決定できなくなるという、いわゆる [   D   ] が生じる場合があります。このため、このような場合を想定し、いわゆる [   D   ] 条項を設けて、対応手順などを定めておくことも重要です。」


甲 氏:「いろいろあるのですね。また、話が進みましたら相談します。」


あなた:「分かりました。契約書の内容を相談する必要があれば、専門の弁護士を紹介することもできますので、お気軽にご相談ください。」

 

解答群

 

  1. A: 3 分の 1   B: 3 分の 2   C:特別決議  D:クローバック
  2. A:50 %    B:51 %    C:特殊決議  D:クローバック
  3. A:50 %    B:51 %    C:特殊決議  D:デッドロック
  4. A:50 %    B: 3 分の 2   C:特別決議  D:デッドロック