令和4年度 第 1 次試験問題 経営法務 第七問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

さて、会話問題が続いていますが、今回は合弁会社についてですね。

まずは、会話を追ってみましょう。

 

甲 氏:「先日、Y社の担当者とZ社の担当者との間で、合弁会社の設立についての会議をしました。合弁会社が実施する業務や弊社、Y社、Z社の役割分担については、だいたい意見が一致したのですが、出資比率をどうするのかで、なかなかまとまっていません。合弁会社の出資比率をどの程度にするのかは、どのような視点から検討すればよいのでしょうか。」

まずは、合弁会社がどんなものか調べていきましょう。

 

合弁事業 

合弁事業(ごうべんじぎょう、英語Joint Venture)は、複数の異なる組織(国家企業)が共同で事業を興すこと、およびその事業を指す。

合弁契約

国家や企業が新規分野に取り組む場合において、単一組織で実施すると様々なリスクを抱えることから、複数の組織が共同で取り組み、お互いの弱点を補うことでリスクの分散を図ると共に事業の成功の確度を増す効果がある。

企業活動における合弁事業は主に新規プロジェクトへの参入や海外に新規進出する場合の足場づくりに多く用いられる。いずれの場合も特定の目的を達するために複数の企業が出資する新たな企業(合弁企業合弁会社とも)を設立し、出資者の間で出資比率や収益の分配方法、企業統制の方法(どの企業が代表取締役を出すか、等)の取り決め(合弁契約)を行いこれに基づいて実施される。なお、複数社が出資する合弁会社に対し一つの会社が単独で出資する場合は独資会社という。

企業が外国に拠点を設ける場合、独資のみで完全子会社を設立することもあり、株主及び取締役は本社の株主や取締役で構成されるため会社経営上の意思決定がスムーズであるという利点がある。しかし、完全子会社を設立する方法では現地法人は製造設備の設立、販路や顧客の開拓などを一からを行う必要がある。そこでビジネスの開始や拡大が比較的容易な方法として本国法人と現地法人が合弁契約(Joint Venture Agreement)を締結し合弁会社を設立する方法がとられることが多い。ただし、合弁契約では適切なパートナーの選定が容易でなく、経営権の支配の問題や営業機密(技術・ノウハウ)の保護などの問題もある[1]

インドなどでは一部の産業分野に外国直接投資(FDI)規制が設けられており、その分野では独資による進出が認められていないため合弁契約やM&Aによる進出のみが認められている

「合弁事業」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年11月26日 (土) 12:40 UTC、URL: 合弁事業 - Wikipedia

 

まず、合弁会社とは複数の企業、または国家が共同で事業を興すために設立した会社ということですね。重要そうなところで、

「出資者の間で出資比率や収益の分配方法、企業統制の方法(どの企業が代表取締役を出すか、等)の取り決め(合弁契約)を行いこれに基づいて実施される」

つまり、設立時の出資比率、それに伴った収益の分配方法、企業統制方法を契約にて取り決められるということです。

また、「複数社が出資する合弁会社に対し一つの会社が単独で出資する場合は独資会社」というように、別に複数の企業が集まったからといって、全員が出資が必須というわけではないというところもポイントでうね。

この会話では、出資比率について、質問しています。

 

あなた:「出資比率をどうするのかはとても重要です。合弁会社で、議決権制限が付いていない普通株式のみを発行する場合、出資比率は、議決権比率となります。定款で特別に定めをしない場合、X社の出資比率を [   A   ] とすると、合弁会社の株主総会におけるいわゆる普通決議事項について拒否権を有し、単独で議案の可決を阻止することができます。また、X社の出資比率を [   B   ] とすると、株主総会のいわゆる [   C   ] 事項について単独で決定権を有することになります。」

そして、あなたの回答です。「出資比率は、議決権比率となります」というように、そのまま何の取り決めもなければ、出資比率がそのまま議決権比率になります。

「合弁会社の株主総会におけるいわゆる普通決議事項について拒否権」を有する条件が問題になってきますね。そしてさらに、

「X社の出資比率を [   B   ] とすると、株主総会のいわゆる [   C   ] 事項について単独で決定権を有する」というように、単独での決定権についても説明がされています。

ここは、設問にて詳しく触れていきましょう。

甲 氏:「なるほど、出資比率というのは大切なのですね。でも、出資比率を大きくすると、それだけ合弁会社の事業が立ち行かなくなった場合の責任も重くなると思います。出資比率を大きくしなくても、重要な事項の決定については、弊社の意見を反映させたいと思います。どうすればよいでしょうか。」

「出資比率を大きくしなくても、重要な事項の決定については、弊社の意見を反映させたい」と、甲氏もなかなか無茶を言ってきます。

あなた:「合弁会社の株主間契約で、重要な事項の決定は株主全員の合意によることとする定めを置いたり、事案によっては、定款で株主総会や取締役会の定足数・決議要件を加重することを定める場合もあります。合弁会社の株主間契約で、重要な事項の決定は株主全員の合意が必要と定めた場合、株主全員の合意が得られず、重要な事項が決定できなくなるという、いわゆる [   D   ] が生じる場合があります。このため、このような場合を想定し、いわゆる [   D   ] 条項を設けて、対応手順などを定めておくことも重要です。」

「合弁会社の株主間契約で、重要な事項の決定は株主全員の合意によることとする定めを置いたり」「事案によっては、定款で株主総会や取締役会の定足数・決議要件を加重することを定める場合もあります」

というように、合弁会社の株主間契約では、このような重要事項の決定や、決議要件などを定めることがあります。

「合弁会社の株主間契約で、重要な事項の決定は株主全員の合意が必要と定めた場合、株主全員の合意が得られず、重要な事項が決定できなくなるという、いわゆる [   D   ] が生じる場合があります」全員の合意なんてなかなか取れないものです。それに対抗処置として、「 [   D   ] 条項を設けて、対応手順などを定めておくことも重要」と説明していますね。これは設問で説明していきましょう。

では、問題に入ります。まずAについては、普通決議事項について拒否権の発動条件になります。株主総会には、普通決議と特別決議があります。これまでも何となく、これらは出てきました。特定の指定が無い場合は、普通決議にて採択され、重大事項については、特別決議で採択されるとだけ、今は覚えておきましょう。

決め方にも、違いが出てきます。普通決議の場合、議決権の過半数を持つ、株主が参加したうで、さらにそのうち過半数以上の賛成を得ることによって、普通決議は可決されます。特別決議の場合、議決権の過半数を持つ株主が参加というのは同じですが、そのうちの3分の2の賛成を得る必要があります。特別決議が必要なモノは、定款の改定や事業の譲渡など、会社経営に大きく影響する事項になります。

さて、拒否権ですが、いってみれば必ず議決を拒否することが可能となる議決権保有率と言い換えることができます。普通決議の場合、過半数があれば、必ず自分が拒否すれば、その議案を拒否することが可能になりますね。よって、50%になります。ただ、拒否権って単純に言うと、どっちかというと特別決議の拒否権のことを指すことが多いです。普通決議の場合は、結局のところ拒否権=決定権、どちらも過半数以上ということになってしまいますので。

次に、BとCについてです。

「X社の出資比率を [   B   ] とすると、株主総会のいわゆる [   C   ] 事項について単独で決定権を有する」

こちらは特別決議に関することですね。上記で説明したように、特別決議の場合は3分の2の賛成が必要になってくることから、逆に言うと、3分の2の決議兼を有していると、単独で決定権を握ることになります。

よって、Bが3分の2で、Cが特別決議です。

なお、特殊決議については、さらに会社に重大な事項、株式すべてに譲渡制限かけるとかについて決める場合の決議方法です。決議兼を有する半数以上の株主(頭数が)が、3分の2以上賛成する必要がある。また、非公開会社については、剰余金の配当等を決める際に、特殊決議が必要となりその際は、決議権の有無にかかわらず半数以上の株主のうち、四分の三が賛成する必要がある。つまり、ある特定の一人が3分の2以上の比率の決議権を持っていても、単独可決することはできない仕組みになっているのだ。

さて、最後はDです。デッドロックかクローバックです。

デッドロックの意味が分かっていれば解答できるかもしれません。デッドロックは膠着状態を表しており、まさにこのように全員の賛成をなかなか得られず、決められない状況です。デッドロック条項とは、そのような場合にどのように決めるか決めておくことです。

なお、クローバックとは、支給済みの報酬について、何らかの理由から強制的に変換させるための仕組みです。

 

以上より、解答は、4となります。