令和 4 年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第十二問 解答と解説

解答

 

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解説

 

需要曲線の次は供給曲線に関する問題です。横軸に数量があり、縦軸に価格がきていますね。右上がりに数を増やすと価格は上がっており、一般的な供給曲線と言えるでしょう。

では、文章を見ていきましょう。例によって3つの正誤問題になっていますので、まずは最も分かりやすいものを探すのが先決です。aが分かりやすいでしょう。

a 生産量が拡大するにつれて、限界費用は増加する。 

限界~は、ひとつあたりの何か、今回は費用ですね。1つあたりの生産を増やすために増やさなければいけない費用ということです。そもそもで、費用と生産量はどのように関係してくるでしょうか。よく費用曲線は以下のような感じに表されることがあります。

つまり、最初のうちは、1つを2つ作り出すには費用はとてもかかるのだけど、もっとたくさん10個、20個と作っていくと効率化が進み、機械なども導入され、増産することにあまり費用はかからなくなっていく。そして、さらにそれを超えるほどの大量生産をする場合は、残業しないといけなくなったり、機械を2度動かすことになったりと、費用はどんどんかさんでいきます。よって、限界費用を曲線で表すとU字カーブになることが多いです。


とここまでは一般論で、いったん忘れてもらって、問題に入りましょう。限界費用曲線と供給曲線はどういった関係になってくるでしょうか?もっと詳しい説明はあるのですが、いったんここではそれは置いておいて、まずは利潤を最大にするとき、価格 = 限界費用が成り立ちます。つまり、売ると利潤がマイナスになってしまうところまで、生産しようということです。
 
供給曲線においては、この条件が成立していることを前提として考えていきます。今回のグラフは、まっすぐと右上がりになっています。つまり、生産量が増えていくほど、限界費用はあわせて大きくなっていくということです。1つ生産するときに増やす費用が1,それを2に増やすときの費用が2,3が3,とそういう感じです。つまり生産量が増えれば増えるほど、限界費用は増えていく、まさに合っていますね。よって、aは正しいです。
 
では、次にbとcです。選択肢からやはりbとcはどちらも見ないといけないようです。

b 価格が P0 のとき、生産者が必要最低限回収しなければならない費用の合計は 三角形 OE0Q0 で示される。 

三角形OE0Q0とは以下の赤字部分ですね。先ほど言ったように、供給曲線 = 限界費用になります。生産量を増やす分の増加分が、限界費用になりますので、限界費用曲線(= 供給曲線)の累積になるので、三角形の面積に等しくなります。よって、bは正しいです。


 

最後にcを見てみましょう。

c 価格が P1 のときの生産者余剰は、台形 P1E1E0P0 で示される。 

生産者余剰、つまり儲けの分はどこになるのか。P1E1E0P0とは以下の青部分になりますね。まず、価格P1で数量Q1で販売した場合、四角形OP1E1Q1が、売り上げになります。その中で、費用は三角形OE1Q1となるはずなので、その他が儲けと思うと、生産者余剰は、OP1E1の三角形になるはずです。よって、これは誤りです。


以上より、a 正、b 正、c 誤ということで、正解は2となります。