1.
まず問題を読んでいき、「実質 GDP 成長率と各需要項目の前年度比寄与度(%)を示している」というところがポイントです。実質 GDP 成長率といういかにも重要キーワードが出てきています。実質というからには、実質でないGDPがあって、それを名目GDPと言います。何が違うのでしょう?まずは、用語の確認をしていきましょう。
そして、今回問われているのは、実質GDPの成長率になります。まず、成長率とは何かというと、前年度(または前期)と比較した場合のGDPの伸び率になります。GDPの成長率は、グラフ内において折れ線グラフにより示されています。2020年から著しく悪化していることが分かりますね。これはコロナ禍における経済の停滞が表れていることが推測できます。
しかし、今回問題のポイントになっていくるのが、各需要項目 の前年度比寄与度(%)です。これは何でしょう?寄与度とは、あるデータが変異していくのに対して、その構成要素であるそれぞれのデータの変化が、データの変異にどれくらい貢献しているかを示す指標のことです。つまり、ここでのデータとは、実質GDPの成長率のことであり、この成長率に対してどれくらい影響を及ぼしているのかという度合いを示しています。
ここでは、構成要素として、a, b, 住宅, c, 民間在庫変動, 純輸出の6項目があげられています。個々の特徴をつかんでいきましょう。
- a : コロナ禍にも関わらず成長している。コロナ禍前よりも成長率は高い。
- b : 大幅に2020年で下がっている。コロナ禍以前は大きな変動はなかった。
- 住宅 : 小幅に成長率はマイナス。コロナ禍前は大きな変動はなかった。
- c : bほどでないにせよ、コロナ禍において成長率を大幅に下げている。コロナ禍以前は大幅にではないが成長方向だった。
- 民間在庫変動 : コロナ禍、それ以前ともに大きな変動はない
- 純輸出 : 大きな変動はない。コロナ禍でやや低調。
とまあ、こんな感じだろうか。ざっくりと特徴をつかんだうえで、aからcに入る選択肢を見てみよう。
まず、選択肢を見てみましょう。「公需」、「個人消費」、「設備投資」から選ぶ形式になっています。この手の複数の選択肢と複数の項目をマッチさせる問題は、必ず考えやすい項目からやっていくことをお勧めする。分かりやすいものから考えて、なるべく選択肢を絞っていくのがベストです。ここで考えやすいのが、aかbです。a はコロナ禍にかかわらず需要が増えた項目、bは逆にコロナ禍で大幅な成長の低下となった項目です。
選択肢から見てbが非常に考えやすいことがすぐにわかります。コロナ禍で大幅に需要が下がったものは選択肢の中のどれか?まあ一部、テレワークの機材を用意するのにお金がかかったとかあった方も多いかと思いますが、「個人消費」については、おおよその方は消費を抑える方向、抑えざる得なかったといえるのではないでしょうか。つまり、bが個人消費であることは簡単に選択できます。
bが「個人消費」になっているのは、1か5です。さて、「公需」か「設備投資」ですが、まず「設備投資」については、悩む人も多いんじゃないでしょうか?テレワーク環境とかこのころ企業は準備しなければいけなかったわけで、実際に設備へ投資した企業も多いと思います。しかし、サービス業を中心にして、コロナ禍では設備投資をやめた、または翌年に延期されたことの方がはるかに大きいはずです。よって、マイナスに働いていなければおかしく、ここでプラスになることはあり得ません。
それに対して、「公需」つまりは政府の消費や公共投資になりますが、こちらは逆にコロナ禍の中で、サービス業を支援するための政府消費が増えていることを考えれば、大きな減少になるはずが無いということが分かります。よって、aが「公需」であると結論付けることができます。
以上より、aが「公需」、bが「個人消費」、cが「設備投資」となり、解答は1となります。
=