2.
以下の会話は、X株式会社(以下「X社」という。)の代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
会話問題ですね。
なお、甲氏は、現在、77 歳であり、配偶者(a)と 2 人の子(b と c)がいる。また、X社は、公開会社ではなく、かつ、大会社ではない。
家族構成は確認しておきましょう。配偶者 a と、2人の子供 bとcがいます。
甲 氏:「私も、77 歳なので、最近、X社の事業承継はどうしたらよいかを考えています。現在、X社の株式は、私が 80 %、10 年前に 70 歳でX社を退職した乙氏が 20 %持っています。a と c は、X社の仕事をしていないので、私が死んだ後は、私の持っているX社の株式はすべて b に相続させたいと考えています。b に相続させるに当たって、注意点はありますか。」
どうやら、事業承継についてが話題のようですね。乙氏が20%の株を持っているとのこと。なんか悪人だったらドラマが発生しそうです。
aとcは遊んで暮らしているでしょうか。社長もいまいちお金を渡すものかという感じでしょうか。bは、どうやらX社で働いているようで、bに跡を継がせたいわけですね。
あなた:「甲さんは、X社の株式の他にも、自宅や預貯金の財産をお持ちですので、遺言書を作って、これらの分配方法を定めておくことがよいと思いますが、遺言では、相続人の遺留分に注意する必要があります。」
さて、今回の問題となる遺留分についてが出てきました。遺留分とはなんでしょうか。
遺留分とは、遺言によって財産をどうするかを指定することが可能ですが、しかし、一定割合については、決められた相続人から奪うことができない部分があります。これが遺留分です。勝手に、愛人に全部財産は残すよでは済まないってことですね。
さて、では選択肢を見ていきましょう。
1.遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から 3 か月間行使しないときは、時効によって消滅する。
遺留分の時効に関してです。これは相続があり、それが侵害されていることを知ったときから1年間になります。よって、3か月というのは誤りです。
2.相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生じる。
遺留分を放棄するのは、そこそこめんどくさくなっており、家庭裁判所の許可を受けたときに限ります。これは正しいです。
3.「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく遺留分に関する民法の特例である除外合意、固定合意は、遺留分を有する先代経営者(旧代表者)の推定相続人の過半数が合意の当事者であれば、その効力を生じる。
除外合意・固定合意を効力を生じさせるには、非常に手間がかかります。
経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可がさらに必要となります。よって、推定楚洲族人過半数の合意というのは誤りになります。
4.配偶者 a の遺留分の額は、遺留分を算定するための財産の価額の 2 分の 1 、子 c の遺留分の額は 4 分の 1 である。
遺留分の割合はちょっとケースによりことなりますので、難しいかもしれませんが、基本的には遺留分の相続財産は1/2となります。子供と配偶者がいるケースでは、親1/4 で、子供にも1/4 が相続されます。子供は二人なので、さらに1/2となり、cには1/8 となります。よって、誤りですね。
以上より、2が正解となります。