令和3年度 第 1 次試験問題 経営法務 第六問 解答と解説

解答

 

1.

 

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解説

会社法が定める取締役会と監査役会の比較に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問における会社は、監査役会設置会社であって、公開会社ではなく、かつ、大会社ではない。また、定款に別段の定めはないものとする。

取締役会と監査役会に関してです。頻出ですのでしっかりと覚えましょう。

 

1.取締役会: 取締役会の決議に参加した取締役であって、当該決議に係る議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定される。
監査役会: 監査役会の決議に参加した監査役であって、当該決議に係る議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定される。

会社法の369条と、393条をそれぞれ見ておきましょう。
 
会社法 
(取締役会の決議)
第三百六十九条 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
 取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

 

会社法 

 (監査役会の決議)

第三百九十三条 監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行う
 監査役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
 監査役会の決議に参加した監査役であって第二項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

説明文の通りですね。よって、これは正しいです。 

 

2.取締役会: 取締役会は、 2 か月に 1 回以上開催しなければならない。
監査役会: 監査役会は、取締役会が開催される月には開催しなければならない。

取締役会については、以下のようにあります。

会社法 

 (取締役会設置会社の取締役の権限)

第三百六十三条 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
 代表取締役
 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない

しかし、監査役会については、このような記載はありません。よって、誤りです。 

 

3.取締役会: 取締役会は、取締役の全員が招集手続の省略に同意すれば、監査役が同意しなくても招集手続を省略して開催することができる
監査役会: 監査役会は、監査役の全員が招集手続の省略に同意すれば、招集手続を省略して開催することができる

取締役会については、以下のようにあります。

会社法 
(招集手続)
第三百六十八条 取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。
 前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

 というわけで、取締役だけではなく、監査役設置会社については監査役の同意も必要になります。というわけで、この選択肢は誤りとなります。

ちなみに、監査役会については以下の通り。

会社法 
(招集手続)
第三百九十二条 監査役会を招集するには、監査役は、監査役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各監査役に対してその通知を発しなければならない。
 前項の規定にかかわらず、監査役会は、監査役の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる

 

4.取締役会: 取締役会を構成する取締役のうち 2 人以上は、社外取締役でなければならない。
監査役会: 監査役会を構成する監査役のうち半数以上は、社外監査役でなければならない。

 取締役会は、まず3人以上で構成されなければいけません。しかし、社外取締役の構成についてはその定めはありません。

監査役会については、取締役会と同じく、3人以上で構成することに付け加えて、その半数以上が社外監査役であることが定められています。

会社法 
(監査役の資格等)
第三百三十五条 第三百三十一条第一項及び第二項並びに第三百三十一条の二の規定は、監査役について準用する。
 監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。
 監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない

 

以上より、正解は1です。