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こう見るといろいろリーダーシップ理論ってあるのだなぁと気づきますね。
1.E.P.ホランダー(E. P. Hollander)の特異性-信頼理論によると、リーダーがフォロワーから信頼を得るためには、集団の目的に貢献する有能性と、集団の自由を重んじる開放性を満たす必要がある。
ホランダーの特異性 - 信頼理論です。
じつにシンプルな理論です。フォロワー(チームメンバー)から、信頼を勝ち得るにはどうしたらよいのか?これには2つのプロセスが必要です。まず、フォロワーに配慮すること。同調性と言います。傾聴してフォロワーの言うことを聞いて、同調すべきだと。そして次に有能性、リーダーが組織の目的達成に貢献できるところを見せないと誰もついてこないです。有能なところを見せるわけです。これがホランダーの理論です。
開放性ではありませんので、これは誤りです。
2.F.E.フィードラー(F. E. Fiedler)の研究によると、リーダーシップの有効性に影響を及ぼす状況の決定要因とは、①リーダーとメンバーの人間関係、②課業の構造化の度合い、③リーダーの職位に基づくパワーの 3 要因である。
フィードラーの状況対応理論についてです。(LPCモデル)
フィードラーは、メンバーの成熟度により、3つの観点をもってリーダーは行動を変えていかなければいけないと主張しています。それがまさに問題にも出ている3つです。
①リーダーとメンバーの人間関係
②課業の構造化の度合い
③リーダーの職位に基づくパワーの 3 要因である。
この3つが良い状態であると、チームとして統制がとりやすい状態であると言えるわけです。この説明は正しいです。
3.R.リッカート(R. Likert)らによる初期のミシガン研究によると、高業績部門では職務中心的な監督行動が多くみられる一方で、低業績部門では従業員中心的な監督行動が多くみられる。
リッカートは管理のタイプを、部下からの信頼度、行動に対する動機、相互作用の度合いにより、4つに分けました。
リッカートは、民主主義型の状態が、部下・上司の信頼は高く、メンバーが参加型の従業員中心のタイプが、最も高い業績を達成するタイプとしています。
さて問題文では、民主主義型では、逆のことを言っていますね。誤りです。
4.オハイオ研究によると、有効なリーダーシップの行動特性を表す次元とは、メンバーが良好な人間関係を構築できる「構造づくり」と、課題達成に向けてメンバーに理解しやすい指示を出す「配慮」の 2 つである。
一見では、よさそうに聞こえますが、この説明は逆です。「配慮」が、良好な人間関係の構築であり、課題達成に向けたインフラ作り、課題管理の徹底、理解しやすい指示などを整えるのが、「構造づくり」です。よって、誤りです。
5.状況的リーダーシップ論(SL 理論)によると、リーダーシップの有効性に影響を及ぼす状況要因とは、目標達成に向けたフォロワーの貢献意欲の強さである。
SL理論とは、ハーシィ(P.Hersey)とブランチャード(K.H.Blanchard) が提唱したリーダーシップ条件適応理論のひとつです。仕事志向と人間関係志向の強さにより、部下の成熟度を分けて、以下のようにリーダーは部下への対応方法を取るべきという理論です。
仕事志向と言っているのは、指示が必要か不要か。
人間関係志向というのは、組織的な協力関係で作業するかどうか。
- 教示的リーダーシップ:こと細かい指示、説明などする。
- 説得的リーダーシップ:部下からの質問などに答える
- 参加的リーダーシップ:部下が自ら参加してくるように仕向ける
- 委任的リーダーシップ:完全に部下に任せる
リッカートに近い考え方ですよね。イメージを言うと、
新人時代は、こと細かく指示が必要で、言われたまま作業するので、組織的な行動も不要な状態です。これが教示的リーダーシップがされる時期。
ある程度、知識がついて、分からないところだけ質問して、その他は自ら行動でき、組織的に動くことができます。ここが説得的リーダーシップ。
さらには、リーダー中心にして、部下は自ら組織をよりよくするために参加していき、組織全体でタスクの実行を動かしていきます。これが参加的リーダーシップ。
リーダーももう不要な状態。部下が自律的に組織を回していける状態です。これが委任的リーダーシップ。
問題文のような貢献意欲は関係ありません。よって、誤りです。
以上より、2が正解です。