令和3年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第二十二問 解答と解説

解答

 

2.

 

解説

 

再びグラフ問題に戻りました。労働市場についてですね。

まず、基本的には労働需要曲線は右下がり、労働需要は企業から見た需要になります。つまりは賃金を安く雇えるなら、たくさん雇いたい。逆に高いなら、そこまで雇うことはできないことが表されています。

労働供給曲線は、労働者側からの視点です。給料が高ければ、たくさんの労働者が働こうとしますが、安いとそこまで働く人はいないということです。この需要と供給のバランスから、労働量と賃金は定まります。

 

問題を読んでいきましょう。

a 最低賃金を W0 より高い水準に設定すると、労働市場は超過供給の状態となり、失業が生じる。
 W0より高い水準に設定された場合何が起こるでしょう?均衡している点よりも、高い点に賃金が設定された場合、企業ははいそうですかというわけにもいかないので、仕方なく雇う労働者を減らします。しかし、賃金が上がったことにより労働供給は増えていきます。そして、労働市場は超過供給の状態になり、失業が生じます。よって、正しいです。

b 労働市場を開放し、海外から労働移民を受け入れると、労働需要曲線が右方にシフトする。
 海外から労働移民を受け入れると、何が起こるでしょう?まず、労働移民が入ってきて変わるのは労働を提供する側です。企業側はそれで労働需要が変わるわけではありませんので、労働需要曲線に変化はありません。
労働供給曲線はどうなるでしょう?労働量は増えて、同じ賃金で働く労働量が増えるので、供給曲線は右へシフトします。よって誤りです。
c 資本投入量が増加すると、賃金は上昇する。
ちょっと迷うところではないでしょうか。
資本投入量が増加すると、なんか賃金に回すお金が減って減少するんでは?って思ってしまいますが、ここで重要なのが、資本投入量を増加させることで、生産性が高まります。つまり、一人当たりの生産能力が上がり、最終的に、賃金は上昇します。よって、これは正しいです。 
d 最低賃金を W0 より低い水準に設定すると、人手不足の状態となる。

aとは逆なので、これ正しいんじゃない?って思ってしまいますが、本当にそうでしょうか?さて、最低賃金を上げた場合、企業に選択の余地はなく嫌でも上げることになります。選択肢からなくなります。しかし、最低賃金を上げた場合、別に均衡している点の賃金にしては駄目というわけではありません。また、労働者の供給曲線が最低賃金が下がったから、賃金が低くなってもいいやってはならないです。よって、均衡する点は結局は変わらないです。企業は望む労働量を確保するため、賃金を均衡点に合わせる必要があります。

よって、これは誤りです。

 

 

よって、a 正、b 誤、c 正、d 誤

正解は2です。