令和4年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第三十三問 解答と解説

解答

 

1.

 

解説

 

製品ライフサイクル(PLC)に関してです。無いかなと思ったら、意外にもWikiにあったので、見てみましょう。

製品ライフサイクル 

製品ライフサイクル(せいひんライフサイクル、product lifecycle)とはマーケティング用語の1つで、製品市場に登場してから退場するまでの間を指し、普通は各製品に対してこの間の売上利益の変化に着目して最適のマーケティング戦略を構築するための基本的な情報となる。

前提

製品にライフサイクルがあるという考えは、以下の4点を前提としている。

  • 製品寿命は限られる
  • 製品の販売は時間と共に「機会」「試練」「問題」によって変化する
  • 製品販売の変化は利益の変化となって現れる
  • 製品販売の変化に対応した「マーケティング」「財務」「製造」「購買」「人的資源」に戦略が必要となる

 

4段階

製品ライフサイクル
縦軸は(A)販売数と(B)利益 横軸は時間
1.導入期 2.成長期 3.成熟期 4.衰退期

製品ライフサイクルは4つの段階より構成される。通常の製品ライフサイクルは売上げと利益を時間軸でプロットするとS形の曲線を描く。これら4つに加え、導入期以前に「開発期」を含めた5つの段階とする場合もある。

  1. 導入期
    製品が市場に導入されて販売が開始された時点から、徐々に販売数が伸びてゆく期間である。市場へ製品を導入するために多額の費用が発生するために利益は無いことが多い。
  2. 成長期
    製品が市場で受け入れられ、大幅に利益が得られる期間である。
  3. 成熟期
    製品が市場の潜在的購入者のすべてに行き渡り、成長期での販売の伸びに比べて減速する期間である。利益は安定的に得られるか、または競争の激化によって減少する。製品ごとの成熟期の長短がそのライフサイクル全体の長さを決める主要な要因となる。
  4. 衰退期
    製品の売上が減少してゆき、利益もそれに伴って減少する期間

 

製品寿命から見た3つのパターン[編集]

製品寿命から見た3つのパターン
1.スタイル 2.ファッション 3.ファッド

各製品は、好調に売れる期間によって次の3つに分類できる。

スタイル
住宅衣服芸術などでのあまり流行に左右されない基本的要素によって、長く続いていく場合に描かれる曲線である。多少の流行とすたりを繰り返しながら、長ければ何世代にも渡って続いてゆく。
ファッション
将来の売れ行きを予測することが最も困難なパターンの一つである。購買者の美的感覚に訴えることで販売機会を獲得する製品が多く、他の同カテゴリーの製品とは差別化が図られなければならない。新奇性を求める購買者によって短期的に販売が伸びても、差別化は同時に快適性や汎用性などの実用性の面で制約を受けやすく、また、あまり販売数が伸びると模倣品を含めて同一デザインのものが市場にあふれて新奇性が急速に失われ、陳腐化してしまう。
ファッド
「ファッション」の一種であり、急速に販売が伸びてすぐにピークに達し、その後急速に販売が落ちるという曲線を描く。新奇性だけでごく限られた購買者にの購入され、市場の大多数の購買者のニーズに合致していない場合に起きる失敗例といえる。ファッドを避けるには新奇性を常に維持するために、多種の新たなデザイン、ストーリー、内容に差し替えて購買者の興味を持続させる工夫が必要となり、それによって製品の寿命は長くできる

「製品ライフサイクル」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年9月13日 (火) 02:55 UTC、URL: 製品ライフサイクル - Wikipedia

 

特に、上記の4段階については、重要なので基礎知識として覚えておくべきです。この部分については、ほかの知識と関連が多々あり、さまざまな知識と組み合わせて、覚えていく必要が出てくる部分です。

しかし、たくさんのことを一気にやってもすぐに忘れてしまう、というのがここでのポリシーなので、せいぜい問題文にからめて、ひとつずつ確認していきましょう。

 

1.PLC の衰退期にある市場の顧客は一般的にロイヤルティが高いため、企業は当該事業を維持し続けることで、売り上げは小さくとも高い利益率を実現できる可能性は残されている。

PLC の衰退期には何が起きているでしょうか?衰退期は、新しい代替技術が生まれ、人々がそちらに遷移していき、売り上げが衰退してく時期です。企業は、その事業に関する投資をやめていきます。

一方で、他企業も撤退していくので、ライバル企業が少なくなっていき、少ない投資で一部の顧客が購入してくれるのであれば、利益率は実は高まっていきます。このような新技術が生まれても、買い続けてくれる顧客は、使い慣れた製品に満足し、新製品に必要性を見出してはいない層であったり、その製品への思い入れがある場合、または価格帯が下がったことにより、今まで手を出せなかった人が、この価格ならばと手に取った場合などが考えられます。そのため、すでに製品の情報が知れわたっている状態で購入する顧客であるので、その満足度は高く、ロイヤルティは比較的高くなるのが一般的です。よって、顧客が限定的であり、部品などが手に入りにくくなるリスクはあるが、これらの問題やリスクが解決するのであれば、問題文の通り、高い利益率を実現できる可能性は残されていますね。ガラケーなんてのがいい例ですね。

 

2.PLC の成長期において、通常、企業は自社製品の品質、特徴、パッケージといった特性に手を加えたり、自社のサービスに新しい利用シーンを提案したりして、顧客ニーズの多様性に合わせたマーケティング対応に努める。

次は成長期についてです。成長期は導入期を過ぎて、導入期を通じて製品の知名度があがり、市場に受け入れられた状態にある期間です。顧客も、イノベーターからアーリーアダプターへ遷移し、各企業が激しくシェア争いをする期間にもなります。しかし、自社製品をアピールするためには、まだまだ広告などには投資が必要で、新しい顧客を増やしていきます。生産量はそれに比例して増やしていき、設備も拡大させていきます。

さて問題文を見ていきます。「自社製品の品質、特徴、パッケージといった特性に手を加えたり」、これは成熟した商品に対してやることであり、成熟期の話をしています。後半のの方も同様ですね。様々な応用事例を考えたりすることは成熟期での話です。よって、誤りです。

 

3.PLC は製品や市場の動きを確実に予測する概念であるため、自社製品がこれからたどるであろう各段階の将来的なマーケティング戦略の策定に主に利用される。

「確実に~」は、疑うべきキーワードで、たいていの場合は誤りです。PLCは確実に予測などはできません。様々な情勢や製品的な特長から、PLCは典型パターンを外れることもあります。よって、誤りです。

 

4.機能やデザインを付加した新製品を出すことで旧製品の魅力を下げ、新製品への買い替えを促進する計画的陳腐化は、当該製品カテゴリーの PLC を短縮することにつながるため、実行は避けるべきである。

ちょっと、判断が難しいです。まず前半は正しいような気はします。あえて、新製品と比較することにより、旧製品からの進化を強調し、意図的に旧製品を陳腐化させることはよく目にすると思います。

PLCの短縮につながるかどうかというのは、まず微妙なところではあります。そうはいっても、その進化は必要ないよって人もいるかもしれませんし、新製品が出ることで、価格が抑えられて、それに納得して旧製品を買う人もいるでしょう。それで短縮につながるとはならないケースもあり得ます。(確実につながると言っているわけでないので、やや、これで誤りと決めるのは弱いです。)

決定的なのが、実行は避けるべきというのは、違います。あえて陳腐化して、新製品をの魅力を伝えるのはある意味常套手段でしょう。よって、誤りです。

 

5.すべての製品やサービスが PLC の 4 つの段階すべてを型通りにたどるわけではなく、一度導入された製品やサービスが、はやったり廃れたりしながら何世代にも渡って続くような場合もある。こうした PLC はファッドと呼ばれている。

 ファッドは、Wikiに出てきましたね。新奇性だけで瞬間的に上がり、すぐに下がるものです。はやったりすたれたりしながら、何世代にも渡って続くのは、スタイルです。よって誤りです。

 

以上より、解答は1です。