令和 4 年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第六問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

 

垂直統合についてです。似たような話が確かちょっと前に出てきていましたような、多角化の戦略で、垂直型の話をしました。垂直統合多角化における垂直型については、似た話ですが、同様にやっぱり水平統合があるのですが、水平型多角化とはちょっと違うので同じようなものとは覚えないほうがよいかもしれません。

垂直統合は、ある意味、グループ企業としてサプライチェーンの上流から下流までを、統合するビジネスモデルという意味合いです。

 

ある企業(あるいは企業グループ)が、自社の製品サービスを市場に供給するためのサプライチェーンに沿って、付加価値の源泉となる工程を企業グループ内で連携して、時にはM&Aなどを通じて経営資源を補いながら特定事業ドメインの上流から下流までを統合して競争力を強めるビジネスモデルのことをいう。これに対してバリュー・チェーン上に定義される特定の工程で、それを提供する複数の企業グループが一体化することを水平統合(分業)という。

垂直統合」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年5月20日 (木) 12:15 UTCURL: 垂直統合 - Wikipedia

 

おさらいとして、 水平型多角化は同じ顧客に対して、新しい製品を売り込む展開方法でした。そして対して、水平統合とは、同じ工程において、複数の企業が統合することです。同じことを複数の企業がやっているのは、効率的でないから統合してしまいましょうっていう戦略です。この場合は、企業グループ内というよりは、買収などにより統合されるケースがほとんどでしょうか。

 

水平統合 (horizontal integration)

サプライチェーンの同じ部分で商品またはサービスの生産を増やす企業のプロセスである。企業は、組織拡張、買収と合併によって水平統合を実現する

企業がその製品またはサービスの市場の大部分を獲得した場合、このプロセスは独占につながる可能性がある

水平統合は、企業が少数の生産ユニットの生産の複数の段階を統合する垂直統合とは対照的である。

垂直統合」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年1月7日 (木) 15:29 UTCURL: 水平統合 - Wikipedia

 

では、ここまで見たところで、選択肢を見ていきましょう。

 

1.近隣農家からの仕入れが不安定であることの対策として、ブドウが収穫される半年前に仕入価格を決定し、その価格で買い取ることにした。

仕入先の近隣農家は特に変わっていないです。そのため、特に垂直統合されていません。これは誤りです。

 

2.販売戦略を見直し、製造したワイン全量を近隣の酒販店に販売することを止めて、製造したワインの半分を遠方の酒販店に販売することにした。

販売先を近隣酒販売店から、遠方の酒販店に変えてはいますが、自社グループであるわけではなく、連携した販売店ではありません。よって、統合とは言えないので、これも誤りです。

 

3. 販売戦略を見直し、製造したワインの一部を自社で運営する Web サイトで消費者に直接販売することにした。

販売方法を自社が運営するWebサイトに変更することにより、販売工程が統合され、自社で統合しています。よって、正しいです。

 

4. ワインケーキ需要の拡大を受けて、自社で製造したワインをワインケーキの製造業者に原料として販売することにした。

製造業者に向けて自社製品を販売しているだけで、販売先が統合されているわけではありません。よって、誤りです。

 

5. ワイン需要が堅調なことを受けて、近隣農家からのブドウの仕入れを増やし、生産能力向上のための設備投資を行った。

近隣農家からぶどうを仕入れることに変わりがなく、統合されていませんので、誤りです。

よって正解は3です。