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PPMの話題です。そしてそのツールとなる、プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスについては、一度は目にしたことがあるはずです。PPMについて、意味を確認しておきましょう。
経営資源を最適に配分することを目的として、ボストン・コンサルティング・グループが1970年代に提唱したマネジメント手法。製品ライフサイクルと製品製造現場における経験曲線効果の概念を元にした経営理論。GE社のマネジメントスクリーンはこれを応用して開発されたもの。
一般的な方法としては、図表の縦軸に市場成長率を、横軸に相対的市場占有率をおいて、現在の自社の事業や商品・サービスが図のどこに位置するかを分析して、その結果をもとに事業特性を明確にするとともに事業構成の分析を行なう
「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2020年11月7日 (土) 08:57 UTC、URL: プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント - Wikipedia
Wikiだけ読んでみてもよく分からないですが、縦軸に市場成長率、横軸に相対的市場占有率をおいて、自社の事業が、どのような位置にいるのか分析をするツールということですね。
こんな図を、おそらく見たことはあるでしょう。各段階の名前を命名した人はいいセンスしていますね。 たまに、花形と金のなる木どっちだっけって迷うこともあるのですが、金のなる木は何もしなくても金が入って来る感があるので、意味を混同することはほとんど無いですね。
これのポイントは、何に金をかけるべきなのか。そして、その金はどこから出てくるのかってのがよく問題として扱われます。それを踏まえて、段階的に考えてみましょう。
まずは、スタートは「問題児」です。市場シェア率は低く、成長率は高い分野です。つまり、これ金になるぜっていうのが分かり始めて、こぞって開発に投資していく段階なわけですね。いきなり初っ端ですが、お金を投資すべきは、この問題児なわけです。他の競合他社を蹴落としてシェアを確立していかなければいけないわけですね。
そして、シェア率を伸ばしていったけど、まだまだ、成長する市場です。投資を続けていく必要があります。店舗を広げるもよし、いろんなバリエーションの製品を出すもよし、ProとかUltraとかSEとか、ここまでシェアを伸ばし、ネームバリューがあるはずなので、取りこぼしないようにこの分野を成長させていきます。この時期が花形です。先ほども言いましたが、花形と金のなる木を混同してはいけません。シェアはありますが、稼ぎ頭ではないのです。
しかしいつかは頭打ちです。スマホもそろそろ伸びしろの天井が見えてきましたね。過大な投資はやめますが、製品としては成熟して完成し、まだまだ売れていきます。この時期が、金の生る木です。シェア率もあるので、独占的に売ることができます。投資も少ないため、利益率が大きい時期のはずです。
が、しかし、盛者必衰で、製品も成熟して寿命も長くなり、みんなどんどん買おうっていう時期も過ぎていき、真新しさを失い、失速していきます。そして、そのうちまったく新しい技術の製品に取って代わられる時が必ずきます。なかなか過去の栄光から手を引けず、売り続けて失敗してしまう可能性がある時期です。これが負け犬です。撤退を考えなくてはいけない時期です。
さて、ここまでのストーリーを頭に入れて、選択肢を見ていきましょう。
1.PPM では、「金のなる木」で創出した資金を「花形」に投資して、次世代を担う事業を育成することが、最適な企業成長を図る上での中核的なシナリオとして想定されている。
「花形に投資して」というのは、成長株で投資を必要としているので、完全に誤りというわけでは無いですが、正しい記述として出てくることはありません。問題児に投資を一番かけないといけないはずです。その後の説明なんかは、まさに問題児の説明です。というわけで誤りです。
2.PPM では、「負け犬」に位置づけられる事業は「収穫(harvest)」ないし「撤退(withdraw)」の対象とすることが、望ましいとされる。
これはそのまま合っていますね。撤退を考える必要があります。正しいです。
3.PPM は企業における事業のポートフォリオを検討する手段であることから、そこでは、ヒト、モノ、カネといった経営資源に関する事業間のシナジーは、考慮されない。
ちょっと、迷うかもしれません。2が明確に正しいので、間違わないと思いますが、これだけ見ると、ちょっと迷います。なぜなら、負け犬であっても、もしかすると花形や金のなる木のシェア率の維持に一役かっている可能性があります。他の事業とのシナジーを、PPMは考慮することができないのです。
しかし、もう一度、よく選択肢を読むと、経営資源のシナジーって言ってます。このポートフォリオの分析に、人、物、金のシナジーは必要ありません。よって誤りです。
縦軸は、市場の成長率です。その企業独自の成長率ではかってはいけませんね。誤りです。
5.プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスの横軸は、各事業(戦略事業単位(SBU))が属する業界の集中度を示すエントロピー指数で構成される。
横軸は、市場のシェア率です。難しい言葉に惑わされてはいけません。誤りです。
以上より、答えは2です。