令和 4 年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第十九問 解答と解説

解答

 

1.

 

解説

 

再び、株式評価についてです。選択肢それぞれに方式が出てきていますね。この手の問題は、あべこべに説明がされていたりすることも多いので、読み方も工夫が必要です。

では、それぞれの方式についてざっと見ていきましょう。

その企業が持つ資産の時価合計額から、負債を差し引いたものを株価とする評価方式です。実務上多くのところで、用いられる手法です。

ただし、継続企業に対しては、将来的な成長等加味されないという注意点があります。

  • 収益還元方式

これは、株価の評価方式ではありません。不動産の評価方式になります。将来的にどれくらいの利益を生み出すのかを考慮したうえで、不動産価格を評価する方法になります。

  • 簿価純資産方式

これは、資産そのもので株価を評価するものです。資産の合計を、発行済み株数で割って1枚あたりの株価を出すといった、とてもシンプルな方法です。

 

  • 類似業種比準方式

これは非上場企業に対して、上場企業の中で類似する企業をベースにして株価を評価するやり方です。

 ざっくり、それぞれの評価方式について分かったところで、選択肢の文章を見ていきましょう。

時価純資産方式では、対象会社が事業を継続することを前提とする場合、再調達時価を用いるべきである。

事業の継続を前提とした企業には、成長性などを考慮していない弱点があると説明をしました。それを補うため、現在の事業は再度展開し直した場合に必要な投資金額をベースにして評価する方式を、再調達時価純資産方と呼びます。よって、この記載は正しいです。

 

収益還元方式は、将来獲得すると期待される売上高を割り引いた現在価値に基づき、株式評価を行う方法である。

何かよさそうに見えますが、あくまで不動産の評価方式です。誤りです。

 

簿価純資産方式は、客観性に優れた株式評価方式のため他の方式よりも優先して適用されるべきである。

簿価純資産方式は、最もシンプルな方法で、抱える負債など、多くのことが考慮されていません。そのため、一般的にはあまり用いられる方式ではありません。誤りです。

 

類似業種比準方式とは、対象会社に類似する非上場会社の過去の買収事例をベースに株式評価を行う方法である。

違いますね。類似する上場企業の株価をベースにする方式ですので、誤りです。

 

以上より、解答は1です。