令和 4 年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第十四問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

 

お金貸し付けの表問題です。

問題文を読んでいると、ちょっと難しい用語が出てきてしまいましたね。「福利現価係数」と「年金現価係数」です。これは知っていないと、解くのが一気に厳しくなっていきます。

まず福利現価係数です。これは、実例を交えて考えます。この係数は、よく利息や投資などで将来的にお金をどれくらい増やしていくのかを考えていくときに使用されます。

例えば、今ではほとんど、ありませんが、年間の利息が5%の定期預金(5年)にお金を100万円預けましょう。1年後いくらになっているでしょうか?100 x 1.05 = 105万円になりますね。次に、2年後を考えます。1年後の段階で、105万になっており、その5%を考える必要があります。105 x 1.05 = 110.25です。どんどん増やしていきましょう。

1年後:105

2年後:110.25

3年後:115.7625

4年後:121.550625

5年後:127.62815625

となっていきます。100だったお金が、最終的には127.62815625というお金になって返ってきました。では、逆に5年後の127.62815625というお金を1と考えたときに、私は、この5年定期にどれくらい預ければよいかというのを逆することはできるでしょうか?当然できます。逆のことをやればいいだけですね。求めたい値をXとします。

X = (((((1 / 1.05) / 1.05) /1.05) / 1.05) / 1.05)

 = 0.78352616646845903174284867098047

という値を得ることができます。これがまさに、複利現価係数です。よく見ると、表の5年の値と上の値は等しいのが分かりますね。この係数をどう使うのかというと、5年後に取得したお金が127.62815625だとすると、定期預金すべき現在の額は、

127.62815625 x 0.784

ということになります。たしかにほぼ100になりました。これでまずは、複利現価係数が理解できました。次は、年金現価係数です。必ず、福利現価係数とセットで覚えましょう。

年金現価係数も似たような話ですが、より複雑な話になってきます。たとえば、良い投資話があるよと友人に言われました。A円貸してくれ。年利5%で運用していき、毎年100万円ずつ崩していきます。という契約の際に、この年金現価係数が使用できます。このときA円はいくらでしょうか?

 

毎年100万もらえるので、もらえる額は最終的には、合計500万円ですね。さらに年利は5%できいてくるので、まず1年後には、A x 1.05 - 100万円 ということですね。そして、さらに2年後、その残額にまた1.05をかけて、100万をそこから支払うと。

1年後:100万崩す A x 1.05 - 100万円

2年後:100万崩す (A x 1.05 - 100万円) x 1.05 - 100万

3年後:100万崩す ・・・省略

4年後:100万崩す ・・・省略

5年後:100万崩す ・・・省略

しかし、この考え方では何がなんやらさっぱり分からないですね。ここが、年金現価係数のとっても考えにくい部分です。ではどうやって考えたら分かりやすいのでしょう?これは、最初に一人の人がAという額をどかーんと預けたと考えると、泥沼に分かりにくくなります。5人の人間がいて、それぞれ1年定期、2年定期、・・・5年定期で、みんな5%金利でした、と考えましょう。そうすると、1人ずつに着目すると、これは複利現価係数の話になってきますね。それぞれ現在価格を出してみましょう。

1人目1年定期:100万:現在価格 100万 / 1.05 = 95.24万

2人目2年定期:100万:現在価格 100万 / 1.05^2 = 90.70万

3人目3年定期:100万:現在価格 100万 / 1.05^3 = 86.38万

4人目4年定期:100万:現在価格 100万 / 1.05^4 = 82.27万

5人目5年定期:100万:現在価格 100万 / 1.05^5 = 78.35万

よって、すべての現在価格を足し合わせると、 432.94万円となりますね。お気づきかもしれませんが、上記は、100万にそれぞれの期間の年利5%の条件における複利現価係数をかけています。

(1年目:0.9524, 2年目:0.9070, 3年目:0.8638, 4年目:0.8227, 5年目:0.7835)

5年分の合計値が、年金現価係数です。そして、その際の元本の金額の求め方は、定額でもらう金額に、年金現価係数をかけた値になります。

つまり今回の元本額 432.94は、

100万円 x 福利現価係数(0.9524+0.9070+0.8638+0.8227+0.7835)

で、表されます。

そして年金現価係数を算出する際、ここでいうと5%の年利を「割引率」と呼びます。

 

では、問題文に戻りましょう。この手の問題は結局のところ、経験がものをいう問題です。この後も1問でも多く解いていくしかないです。

まず、登場人物として、B社と、その取引先がいるようですね。そして、割引率は4%であると。

 

貸付条件をひとつひとつ見ていきましょう。

① 貸付日は 2020 年 7 月 1 日、貸付期間は 5 年であり、満期日の 2025 年 6 月 30 日に元本 200 万円が返済されることになっている。

2020年7月1日から貸付期間は5年間であって、5年後の6月30日に貸し付けた200万円が返済されると。

② 2021~2025 年の毎年 6 月 30 日に、利息として元本の 5 %である 10 万円が支払われる。

上記の他に、毎年元本の5%の利息が支払われると、つまり合計5回ですね。合計50万円支払われることになります。あれでもちょっと待ってくださいよ。4%の割引率だったはずで、これはちょっと変則的な利息の付き方ですね。

つまり、定額的に給付される5%の10万円と、最後に元本200万円がそのまま返ってくるということです。つまり最終的に返却される額は250万円になるわけですね。ただ、割引率(年利)4%ということが重要です。5%の福利現価係数や年金現価係数は、ブラフです。

考え方としては、10万円ずつ5回に分けて毎年返って来る契約と、最終的に200万円返って来る5年契約の定期、どちらも年利は4%、2つの契約について考えれば、この問題は解くことができます。

 

③ 期間 5 年のときの複利現価係数と年金現価係数は以下のとおりである。

割引率が4%、定額で返って来るのが10万円、そして最終的に元本200万円の余りが返って来る。ちょっと上で上げた例とは違った例になりますが、何も恐れる必要は無いです。返却スケジュールは以下の通りになるはずです。

1年目:10万円

2年目:10万円

3年目:10万円

4年目:10万円

5年目:10万円 + 元本200万円

 

まず、定額の10万円について考えてみましょう。4%で5年で、年金現価係数を見てみましょう。4.452です。つまり、10万 x 4.452 で44.52万です。つまり、この50万円払うための現在価格(元本)は、44.52万ということです。そして最終日に200万かえってくるというので、これをを現在価格を求めると、

200 x 0.822 = 164.4

現在価格を、足し合わせてみると、

44.52 + 164.4 = 208.92

ということで、とりあえず答えは4ということになりますね。