令和 4 年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第十三問 解答と解説

解答

 

設問1:2.

設問2:3. 

 

解説

 

さて、十三問目ですが、資金繰り表についてです。過去問をがっちり確認したわけではないですが、あまり見ない問題のような気がします。

まずは、問題文の表から見ていきましょう。X1 年 4 月末に作成した資金繰り表とのことです。

まず、前月末残高と当月末残高に着目して、5月の当月末残高がそのまま6月の前月末残高にいっていますね。

経常収支については、特に中身を細かく見る必要は無さそうですが、6月の()の部分が、なぜ()になっているかは少し意識しましょう。()になっているのが、現金仕入、支出合計、収支過不足当月末残高。まあ、つまりたいした話ではなく、現金仕入の額が分かれば、他の額も算出可能だってことですね。どうやら、現金仕入が問題の肝になりそうだと予想します。

 

そして、次に売上高の予実表です。4月が実績が入っていますが、5月以降は予想になっています。

さて、最後は前提について見ておきましょう。

 

1.売上代金の 20 %は現金で受け取り、残額は翌月末に受け取る。

下のように、まず1000のうち、20%にあたる200を現金売上げとして受け取っているのが分かります。売掛金回収というのが、翌月末受け取りなので、これは4月の売掛金回収ということになります。そういえば、4月の実績は1000だったので、確かに80%分で、800ですね。

 そして、6月の部分が下記です。5月も売り上げは1000だったので80%で、800と、ふむふむ、さて、現金売上が240となっているので、これが6月の売上の20%であると分かります。6月の売上 x 0.2 = 240 ということですので。6月の売り上げは1200ということになりますね。

2.仕入高は翌月予想売上高の 60 %とする。仕入代金は全額現金で支払う。

 仕入れ高は全額現金ということで、6月のところは()になっています。ポイントになる点ですね。まずは5月が720です。翌月予想売上高の60%ということですので、翌月の6月の予想が1200なので、その60%で確かに720です。

では、6月の現金仕入れはどうなるでしょう。同じ考え方で良いので、7月の予想は1600ですので、その60%で、960ということになりますね。

これで、他の()も求められるので、とりあえず全部出しておきましょう。以下のようになるはずです。

3.すべての収入、支出は月末時点で発生するものとする。

収入、支出は月末ということで、月末の1点だけ考えれば良いということです。

 

4.5 月末に事務用備品の購入支出が 300 万円予定されているが、それを除き、経常収支以外の収支はゼロである。

ちょっと読み間違えると、300万予定していたけど、それを使うのを止めたって読めなくもなくて、僕は少し混乱しました。が、ただの他に収支は無いよって言っているだけですね。

5.A社では、月末時点で資金残高が 200 万円を下回らないようにすることを、資金管理の方針としている。 

200万円を下回らないように運営しているわけですね。逆に下回りそうになったら、銀行からお金を借りているわけです。6月は明らかに下回ります。

 

 

設問 1

 

さて、ここまでで、6月は、残金は10万になるので、最後の条件「資金残高が 200 万円を下回らないようにする」が守られません。そこで、銀行からお金を借りることになります。その際の条件は以下のようになっていますね。

借入金の利息は年利率 5 %であり、 1 年分の利息を借入時に支払うものとする。

借入時に支払うというので、即時、利率を支払う必要があるというわけですね。なので、5%のお金が即時かかるということが注意点です。借りたお金の5%を即時支払うということなので、借りるお金の95%しか手に入らないということですね。そして、残金を200万円以上にしないといけないので、残金10では足りないのは明らかですね。そして、銀行からA借りたとすると、以下のような式が成り立ちます。

200 ≦ 10 + A x 0.95

190 ≦ A x 0.95  

A ≧ 190 / 0.95 = 200

A ≧ 200 

ということで、解答は2ということになりますね。正直、10ってのが出た時点で、1か2が答えで、5%利率を考えただけで、2が答えといけそうですね。ある意味、3と4が2よりもかなり大きい値なので、問題の意図と、解答の意図が分かりやすい問題です。

 

設問 2

中小企業診断士と言われると、試験中でもドキッとしてしまいます。銀行で借りる以外に方法は無いかって、何が不満なんでしょうかね。5%も支払いたくないということでしょうか。

ポイントとして予実で7月の売上予想が1600と大きいので、この予想が本当なら、あせって6月に銀行から借りなくてもいいのではないかという話は想像がつきますね。

では、選択肢をひとつひとつ見ていきましょう。 

1.5 月に予定されている事務用備品の購入支出のうち半額を現金払いとし、残額の支払いは 7 月に延期する。

事務用備品の半額は、150です。150が翌月の残額に加算されても、6月末の残金は160で、200を下回ります。これではだめですね。

 

2.6 月に予定されている諸費用支払のうち 400 万円を現金払いとし、残額の支払いは 7 月に延期する。

6月の諸費用支払を見ると、540が予定されています。これを400だけ現金で支払い、残額の140を翌月に延期するということですが、これも、結局140しか増えず、6月末残金は150です。よって、ダメですね。

 

3.仕入先と交渉して、 6 月の仕入代金のうち半額を現金払いとし、残額を買掛金(翌月末払い)とする。

まず6月の仕入代金ですが、960でした。この半額を現金払いということは、480を現金払い、のこりを翌月払いにするということになります。すると、480が来月払いになりますので、今月として480浮いて、残金は490になりますので、とりあえず6月はだ丈夫そうです。が、7月は大丈夫なのか?って不安は、中小企業診断士としてはあるのでしょうけど、問題は6月末の話なので、これが解答ということになります。

 

4.得意先と交渉して、 5 月の売上代金のうち半額を現金で受け取り、残額を売掛金(翌月末回収)とする。

もともと20%現金受け取りで、80%を翌月受け取りという契約でしたが、これを50%現金で5月は回収させてくれということですかね。しかし、5月にそれをやっても、6月に対しては何も変わらないですね。結局6月で100回収できるのですから。

仮に6月にこれをやった場合は、現金売上が、1200の50%で600になり、360増えるので、6月末はどうにかなりそうです。引っかけの選択肢ですね。

 

ということで、正解は3になります。