設問1:3.
設問2:3.
この問題では、設問1では、営業利益の計算が問われ、設問2では、損益分岐点売上高について問われています。いよいよ計算問題が難しくなってきた感はあります。
まず、設問にいくまえに問題に出てくる表を見てみましょう。
製造原価と、販売費および一般管理費が出てきています。この大きな2つの要素は、この後の営業利益との関係性が重要な要点となります。ここで、まず、営業利益ってそもそもなんだっけ?ということを見直します。
恐らく、財務・会計の勉強をするときに、トップランクによく最初の方で説明が入ることですが・・・、
原価の差し引きも何もしない、単に売り上げた額そのものを、「売上高」と呼びます。この時点では、本当に何も差し引きせず、単純にいくらを売り上げたのかです。
さて、しかし、この売上高、あまり役に立ちませんね。下手したら原価よりも売上高が低いかもしれなく、赤字か黒字かもわからないです。そこで、この「売上高」から、「売上原価」を差し引きましょう。これが、いわゆる「売上総利益」です。念のため、「粗利益」ともよばれることを覚えておきましょう。つまり、式で表すと、、、
となります。ここまではある意味一般的な話ですよね。売上からかかったお金を差し引いて儲けはなんぼよって話です。
さて、ここからが財務・会計の話になります。確かに売上原価を引いて、直接的にかかっていた原価を引いた粗利益は出しましたが、会社がかけているお金はこれだけではないですね。この商品を発送するための発送費だったり、いわばこの商品を販売するためにかかった原価以外のお金があるはずです。これがまず「販売費」です。
さらに、この商品を扱う企業を支える全般的費用があるはず、これを「一般管理費」と言います。よく、これら「販売費」と「一般管理費」を混同することが多いです。確かに微妙なラインのお金があります。直接的に販売にかかるお金と、会社全体の業務管理のためのお金という違いであることだけ覚えておきましょう。あまり、明確にその区別をさせるような問題も出てこないはずですので。
さて、話を戻して、営業利益は、売上総利益から、これら「販売費」と「一般管理費」を差し引いたものです。
営業利益は、言ってみれば本業として商売しているものが、しっかりと黒字を出しているのかっていう値として扱われます。
さて、それでは、本業という言葉を言いましたが、本業以外で儲け、または費用が出ている場合もあるでしょう。たとえば配当金とか、利息とかですね。これらは本業の成績を見る上では必要はありませんが、会社そのものの儲けを表すには、必要な要素ですね。このように「受取利息」や「受取配当金」などの本業以外の利益を、「営業外収益」、そして逆に、「支払利息」や「社債利息」などの費用を、「営業外費用」と呼びます。これらの要素を、営業利益に加えたものを「経常利益」と呼びます。
+とーを注意してください。収益を加えるということは+で、費用を加えるということはーでありますね。
そしてまた、似たような話で、「特別収益」と「特別費用」を差し引いた「税引前当期純利益」というものがあります。これらは、特に不動産や株などの売却時に発生する損益、または自然災害などで発生する被害費用とかを、差し引いたものです。別に営業外収益・費用と分けなくてもと素人は思ってしまうのですが、営業外収益・費用は、いわば、配当や利息など、決定づけられて定期的な収益や費用ですが、例えば、不動産や株を売却する場合に発生する損益は、定期的でもなく、今期だけ特別な収益や費用となり、営業外収益や費用とは異質なものであることはわかると思います。「税引前当期純利益」は、いわば、その会社の全収益から全費用を差し引いた、最終的にかかる税金を差し引く前の、利益を表します。
そして最後は、税引前といったくらいなので、税金関連を差し引く必要があるというのが想像つくかと思います。税金というのは、法人税が代表格ですね。そのほかにも住民税、事業税などがあります。
さらに、法人税等調整額という、税務会計のズレを解消するための勘定項目があります。ここでは細かい会計のズレの起因までは触れませんが、税務会計上、実際の納付義務のある税金と、会計上でズレが出る場合があり、それの調整がこれにあたります。もちろん、プラスの場合とマイナスの場合があることにも注意が必要です。
これで、我々は企業の利益の種類について、すべて学びました。といっても、今回の問題で問われているのは、営業利益です。
まずは設問1を見ていきましょう。
まず表を見てみましょう。製造原価と、販売費・一般管理費が掲載されています。
まずは、これらを計算して、合計値を考えてみましょう。
ここで、ポイントになるのが、あれ、1000個生産したのなら、原価には1000個かけるのか?それとも実際に売れた800個をかけるのか?というところです。
結論だけ言うと、かけるのは販売数の800が正解です。売上高を上げた原価を出さなければいけないので、ここで出すべきは800をかけた値です。ちなみに、生産量に1000かけた場合の合計を出していくと、830,000となり、30,000赤字となるので、見事に選択肢1に引っかかってしまう人もいるかと思います。
さて、設問1をよく読むと、「直接原価計算」という言葉が出てきています。さて、これはどういう意味でしょう。Wikiを見てみましょう。
直接原価計算(ちょくせつげんかけいさん)とは、製品の製造費用を固定費と変動費に分類し、変動費を中心に原価を計算、利益計画において経営者が管理することのできない固定費を期間費用として処理する原価計算の手法の一つである。
「直接原価計算」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年3月22日 (火) 09:43 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B4%E6%8E%A5%E5%8E%9F%E4%BE%A1%E8%A8%88%E7%AE%97
なにやらめんどくさい説明が出てきてしまいました。しかし、直接原価計算は、この問題については気にする必要はありません。仕掛品および期首製品がゼロである場合、ここに差分は生まれないためです。というわけで、計算してみましょう。
製造原価
240 * 800 + 160 * 800 + 100 * 800 + 200,000 = 600,000円
販売費・一般管理費
100 x 800 + 50,000 = 130,000
営業利益 = 売上高 ー 売上原価 ー (販売費 + 一般管理費)
= 800,000 - 600,000 - 130,000 = 70,000
ということで、3の70,000が正解です。
設問2では、「損益分岐点売上高」に関する問題です。まず、損益分岐点をWikiで調べてみます。
損益分岐点(そんえきぶんきてん、英: break-even point, BEP)は、管理会計上の概念の一つ。 売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高または販売数量を指す。前者を損益分岐点売上高といい、後者を損益分岐点販売数量という。単に損益分岐点と言った場合、管理会計では前者を指し、経営工学では後者を指すことが多い。
売上高が損益分岐点以下に留まれば損失が生じ、それ以上になれば利益が生じる。このことから採算点とも呼ばれる。
「損益分岐点」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年3月22日 (火) 09:43 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%90%8D%E7%9B%8A%E5%88%86%E5%B2%90%E7%82%B9
まあ、売上とかかった費用がトントンになるところで、その売上高を損益分岐点売上高って言うみたいですね。
悲しいことに、ひとつの言葉を調べていくと、また知らない言葉が出てくるというあれです。限界利益率とはなんでしょう。先に限界利益から調べていきます。
限界利益(げんかいりえき、英: marginal profit)は、管理会計の概念の一つ。売上高から変動費を引いたもの。限界利益を売上高で割ったものを限界利益率 (英: marginal profit ratio) といい、売上が1単位増えることで増える利益のこと。
また、固定費の回収に貢献することから、貢献利益(こうけんりえき、英: contribution margin)とも呼ばれる。ただし、会計学上、商品別の限界利益から個々の商品販売に直接関与した固定費を引いたものを貢献利益と呼ぶこともある。
「限界利益」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年3月22日 (火) 09:43 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%90%E7%95%8C%E5%88%A9%E7%9B%8A
売上高から変動費を引いたもの。つまりは、固定費 + 利益ということですね。この値に一体何の意味があるのでしょうか?ちょっと間違っているかもしれませんが、限界利益とは固定費を無視した利益と考えるのが一番楽だと思います。なので売上高から変動費を差し引いている式は重要ではありますが、単純にかかったお金を引いていると考えると少し分かるかもしれません。
限界利益は単純な、利益だとします。そして、限界利益率とは、それを売上で割った数です。それを売上で割ると何が出ますか?利益の割合が出ます。1売った時に、そのうちの~%が利益だよっていうのが分かるってことですね。
さて、損益分岐点売上高に戻りましょう。固定費を、チャラにする売上高を求める必要があります。たとえば10の固定費を、利益率50%の製品をいくつ売るとチャラになるかというと、20個ですね。つまり、固定費 ÷ 利益率(限界利益率)なわけです。
= 固定費 ÷ *1
= (200,000 + 50,000) ÷ (1 - (480,000/800,000))
= (250,000) ÷ (1 - 0.6) = 250,000 ÷ 0.4
= 625,000
というわけで、答えは3です。