令和 4 年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第十一問 解答と解説

解答

 

3. 

 

解説

 

 ストーリー調の会計問題が入ってきました。簿記なんかを持っている人は、すんなり問題を理解できると思いますが、慣れていない人だと、まず問題文を理解するのに時間がかかってしまいます。

 だいたいこのあたりの問題は定型的なので、何問も解いていくのが一番良いです。では、問題文をひとつひとつ確認していきましょう。

 

当期は X5 年 4 月 1 日から X6 年 3 月 31 日の 1 年間である。

読み飛ばしても良いくらいです。当期の定義です。

 

決算整理前の機械勘定の残高は 216,000 円であるが、

決算整理前ということに、少し注目で、この言葉でおそらくは逆に決算整理で必要な事柄がこのあとの問題なんだろうなと想像がつきます。

じゃあ、決算整理でやることってなんでしょうか。とりあえずざっくりと以下に一覧してみます。この辺はよく問題としても狙われるところです。

  1. 棚卸資産の計上、売上原価計算
  2. 固定資産の減価償却減価償却費の計上
  3. 現金や預金の残高確認、帳簿の確認
  4. 売掛金や買掛金の修正
  5. 前払金をもらった場合、払った場合の処理
  6. 有価証券の時価評価の調整
  7. 貸倒引当金を計上
  8. などなど

そして、対象となる勘定項目が、機械勘定、機械装置のことでこれは固定資産扱いですね。とくると、減価償却あたりの問題かなとここらで想像がつきます。

残高は 216,000 円というあたり、減価償却がされて、残高216,000円であるのでしょう。

当期より直接控除法から間接控除法に記帳方法を変更する。

重要な用語が出てきました。「直接控除法」と「関節控除法」。これはなんでしょう?これはどちらも、固定資産からどのように減価償却費を差し引くのかという手法です。そのまま直接差し引く方法と、間接的に差し引く方法です。差し引く方法といっても、その差し引き額が変わったりとかはしません。

ざっくりと言うと、固定資産100万円の何かがありました。減価償却費に毎年10万円差し引きます。「直接控除法」の場合は、この固定資産から直接10万円差し引いて、90万になりましたよ、というのが直接控除法です。とても直接的ですね。

では、「関節控除法」はどういうことでしょうか?関節というくらいなので、直接は差し引きません。累計で差し引く必要がある、「減価償却累計額」っていう、項目を新たにおこします。そして、ことしは10万円差し引き額が積まれましたとして、「減価償却累計額」は10万円に、そして次の年は20万円に、このように固定資産の額は減らず、どんどん累計額が増えていくわけです。けど結果は、引かれるべき額を別だしにしているだけで何も変わらないですよね。

違いは、取得額がそのまま残されて見えるってことでしょうかね。ケースバイケースで使い分けられます。で、問題では間接法に変えたとありますね。

 

この機械は X1 年 4 月 1 日に取得したものであり、耐用年数 10 年、残存価額をゼロとする定額法により減価償却を行っている。

この機会の起源がわかってきました。X1年だから4年も前・・・。新品でやってきたわけですね。今期で5年目ということになります。

耐用年数と残存価額の意味は前にしましたね。耐用年数は、その資産がどれくらいまで使えるのか、そして、耐用年数が過ぎた際に、売却する場合いくらなのかが、残存価額でしたね。

この機械の取得原価として、最も適切なものはどれか。

 そして、問題は取得原価を求める問題であると。ここまで情報が揃えば、もう答えは出すことができますね。残存価額がゼロなので計算は簡単そうです。

まず、取得原価を、X円としましょう。耐用年数10年なので、毎年の減価償却費は、X/10で表すことができますね。そして、今期は5年目です。少しポイントが、今年はX5年の4月~X6年3月で、いま決算整理前ということですので、5年目も終わりにさしかかっているわけですが、決算整理前なので、まだ今期の減価償却費が差し引かれていないという点です。また、今期より直接法から関節法になると言っています。つまり、前期までは直接法にて、固定費から減価償却費が直接引かれていたわけですね。ややこしいです。

つまり、4年分の(X/10)円が、いますでにひかれていて、その残高が、216,000円ということです。式に表しましょう。取得原価 - 4年分の減価償却費 = 216,000円

X - 4 x (X/10) = 216,000

10X - 4X = 2,160,000

6X = 2,160,000

X = 360,000

となります。よって、解答は、360,000円で、3となります。