令和 4 年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第十五問 解答と解説

解答

 

設問1) 2. 

設問2) 1.

 

次の問題へ

 

 

解説

 

利潤最大化するための最適生産についてです。ここでは、すでに出てきていた限界費用あたりの深堀り的な話になります。

この問題では、総収入曲線 TR総費用曲線 TCが登場していますね。総費用曲線は、前に説明したとおりの形状のグラフになっています。

さて、今回は少し費用について掘り下げていきます。費用は、大きく2種類の費用に分けられます。つまり、生産数に応じて変動しない費用である固定費用。そして、生産数に応じて変動する可変費用です。残業代なんか考えると人件費はこちらに可変費用になります。

固定費用は、たとえ生産量が0であってもかかる費用です。土地代とか、維持費とかが固定費用になります。よって、固定費用は総費用曲線の切片になります

そして次に、1つあたりの価格を決めるうえで重要なことが、1つあたりに、じゃあいくら費用がかかるのってことです。価格は間違いなくこの値を超えていかないと黒字にはなりませんね。これが総費用を生産量で割った値で、平均総費用です。単に平均費用とも言います。

 
グラフ上で表すと、平均費用は総費用を生産量で割った数、つまり総費用の点と、原点を結んだ線の傾きになります。この組み合わせをグラフに表すと、平均費用曲線はU字型のグラフになります。

では、平均費用を最も低くするのはどの点になるでしょうか。これはつまりは角度が緩い傾斜になるところのはずですね。つまり、総費用曲線に接する場合に平均費用は最も低くなるはずです。そして、総費用曲線の接戦ということは、限界費用曲線にも等しいということになります。
 
設問1
 
この時点で、設問1を見てみましょう。すべて答えられるはずです。

a 総費用曲線 TC の縦軸の切片は、固定費用に等しい。 

➡ その通りでしたね。固定費は生産量0でもかかるお金です。よって、切片は固定費用となります。

b 平均費用が最小値を迎えるところでは、限界費用と平均費用が一致する。 

➡ その通りでした。平均費用は総費用曲線の点と原点を結ぶ線の角度でした。角度が最もゆるくなるのは、総費用曲線に接するとき、つまりは限界費用と一致する点でした。

c 生産量の増加に比例して、平均費用も増加していく。 

➡ これはそんなわけないですね。原点と、総費用曲線の点を結ぶ線の角度ですので、比例して増えていくことはありません。

 

以上で、aが正、bが正、cが誤となっている2が正解になります。

設問2

 

設問2は利潤に関する問題になります。総収入曲線が引かれています。利潤は当然、総費用と総収入の差分になりますね。では、その利潤が最大になるところとはどこでしょう?

すでに答えを以下の図に書いていますが、総収入曲線と同じ角度で総費用曲線に接する線の接点が、利潤を最大にします。つまり、その生産量における総収入 - 総費用の差が最も大きな点となります。もっと言うと、総費用曲線に接した線の傾きは、限界費用の大きさとなりますので、限界費用の大きさと収入曲線の大きさ(限界収入)が同じくなる点において利潤は最大になると言えます。その点より左側では限界費用は限界収入より小さくなるので、これはもっと生産して大丈夫と言えますし、逆に右側になると限界費用は限界収入より大きくなるため、小さくすることにより利潤は大きくなるのが分かります。

さて、それでは問題文を見ていきましょう。
 

a Q1 の生産量では、価格が限界費用を上回っており、生産を増やせば利潤が 増加する。 

➡ Q1では限界費用が限界収入より小さい状態です。よって、もっと生産を増やせる状態ですので、これは正しいです。

b Q0 の生産量では、総収入曲線の傾きと、総費用曲線の接線の傾きが等しくなっており、利潤最大化と最適生産が実現している。

➡Q0は限界費用と傾きが等しい点ですね。利潤が最大化した状態ですので、bも正しいです。 

c Q2 の生産量では、限界費用が価格を上回っており、生産を減らせば利潤が 増加する。

➡Q2では、限界費用が限界収入よりも上回った状態ですね。この場合生産を減らせば利潤が最大利潤に近づきますね。よって正しい記述です。

よって、aからcまですべて正しく、1が正解になります。