令和3年度 第 1 次試験問題 経営法務 第二十問 設問2 解答と解説

解答

 

2.

 

この解答の問題

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解説

引き続き会話問題です。設問2に進みましょう。

 

(10 か月後)

甲 氏:「10 か月ほど前に相談させていただいた卸売業者であるY社から納品された腕時計の件で、先週、10 か月前に納品された腕時計の一部に別の不良が見つかりました。店頭で販売した腕時計について、購入者の方から、全く動かなくなるというクレームがありまして、Y社に対して、何らかの請求はできませんでしょうか。」

どうやらトラブル発生です。10か月過ぎた状態ですね。

あなた:「 [   C   ] ですので、商法第 526 条が直接適用されて買主である御社に目的物の検査及び通知義務が課されます。そのため、腕時計が動かなくなるという不良が直ちに発見できないものだったとした場合、 [   D   ] 。いずれにせよ、今後は契約書を専門家に見てもらった方がいいと思いますので、よろしければ私の知り合いの弁護士を紹介しますよ。」 

文章から、どうやら時間が経過しすぎていることがポイントのようですね。まずは会話に出ている商法526条を確認しましょう。

商法 
(買主による目的物の検査及び通知)
第五百二十六条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない
 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない

納品したときに検品して、不適合を見つけたら基本的にすぐに通知。すぐに見つからないものでも、6か月以内に通知ってことですね。今回は10か月過ぎてしまっています。 

Cから選択肢をみていきましょう。

  • 商人間の売買
  • 少なくとも当事者の一方のために商行為となる行為

はてなって感じです。商人間の売買とは、つまり商売人の間における取引や売買です。そして、当事者の一方のための商行為となる行為とは、商売人が消費者に向けてということです。今回は、商売人の間による取引の話ですね。上が正しいです。

では、Dを見てみましょう。

  • まだ 1 年経過していないので、Y社に対する請求は可能です
  • もう 6 か月経過しているので、Y社がその不良につき悪意でない限り、Y社に対する請求は困難です

526条より、6か月以内に不良を発見して通知することが示唆されていますね。そのため、故意的なものでない限りは、請求は難しいでしょうというのが、法律上の見解になるでしょう。よって、下が正しいです。

 

以上より、2が正解となります。