令和3年度 第 1 次試験問題 経営法務 第二十問 設問1 解答と解説

解答

 

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解説

以下の会話は、X株式会社の代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
なお、民法については「民法の一部を改正する法律」(平成 29 年法律第 44 号)により改正された民法が、商法については「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成 29 年法律第 45 号)により改正された商法がそれぞれ適用されるものとし、附則に定める経過措置及び特約は考慮しないものとする。

最後の最後に会話問題です。だいたい同じパターンでX社の甲氏との会話です。

甲 氏:「弊社は、卸売業者であるY社から、1,000 本の腕時計を仕入れたのですが、昨日納品された腕時計の中に、秒針が動かないものがありました。弊社は、秒針が動かない腕時計について、新しい腕時計をY社に納品し直して欲しいと思っているのですが、そのようなことは可能でしょうか。」

Y社が新しく出てきました。どうやら、仕入れたものの一部に不良品があったようですね。これをY社責任で納品し直してもらえるかというところです。

あなた:「はい、可能です。ただし、 [   A   ] 。」

あなたは可能だと言っていますが、どうやAという条件があるようですね。Aの解答群を見てみましょう。

  • 秒針が動かないことが買主である御社の責めに帰すべき事由によるものである場合は、できません
  • 秒針が動かないことが買主である御社の故意又は重過失によるものである場合は、できません。しかし、御社の軽過失によるものである場合は、できます

こんなの当然といえば当然ですが、軽さによらず、買主の過失で秒針が動かなくなった場合については、できません。あくまで売主側の過失の場合のみです。よって、下が正しいです。

 

甲 氏:「ありがとうございます。念のため確認しますが、大丈夫だと思います。」


(数日後)


甲 氏:「先日おっしゃっていた件、確認した上で問題ありませんでしたので、Y社に秒針が動かない腕時計について、新しい腕時計を納品し直して欲しいと申し入れたところ、Y社からは、修理させて欲しいという申し出がありました。そもそもこのようなことは可能なのでしょうか。」

ありがちですが、新しいものを納品するのではなく、初期修理をさせてくれと言っていると。

あなた:「はい、可能です。ただし、 [   B   ] 。」

甲 氏:「なるほど、よく分かりました。」

あなたは可能と答えます。しかし条件があるようです。甲氏もその答えに納得しているようです。選択肢を見てみましょう。以下の2択になります。

  • 修理という方法が買主である御社に不相当な負担を課するものである場合は、できません
  • 秒針が動かないことが売主であるY社の責めに帰すべき事由によるものである場合は、できません

上は買主側に不利益がある場合は、修理という方法をとることはできませんってことですね。下は、Y社のせいの場合は、とにかくだめってことです。下は文章が上のほうと合わないこともありますが、修理という手段が、ダメというわけではありません。買主にとっても、不利益にならない場合は修理という手段による対応でも問題ありません。上が正しいです。

 

以上より、1が正解となります。