令和3年度 第 1 次試験問題 経営法務 第十七問 設問1 解答と解説

解答

 

1.

 

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解説

以下の会話は、X株式会社の代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
なお、空欄Aは、設問ではなく、あえて空欄としているものであり、解答する必要はない。

会話問題ですね。あえて空欄としているってのはちょっと面白いですね。あんまり見ないです。つまり、そのものが問題の解答に密接にかかわるということでしょうか。

甲 氏:「弊社は、初めて取引をする外国のY社に製品を輸出しようと考えており、Y社から契約書案が送付されてきたのですが、以下の条項は、どのような内容でしょうか。
PAYMENT
Y shall pay the Price to X by way of [   A   ] to the bank account
designated by X within thirty days after the delivery of the Products to
Y under this Agreement.」

まず登場するのが、甲氏の会社と、そして初めて取引をする外国のY社ですね。契約書案の英文がそのあとに続きます。支払いについてのようですね。

「この合意の元、Yはその価格をXに対して、製品の出荷後30日以内にXが指定する銀行口座に対して、[A] による方法にて、支払わなければいけません。」という感じでしょうか。

あなた:「この条項は、代金の支払方法につき、 [   B   ] の方法によることとされており、一般的に [   C   ] という問題点があります。別の方法として、売主のリスクを削減するために、信用状が用いられることがあります。」

まずは、Bを考えましょう。選択肢を見てみるのが速いです。以下のいずれかということになります。

  • 送金
  • 荷為替手形

ここで、この問題は、いわば支払いタイミングについての問題ということが分かればCも考えやすくなります。送金の方法では、一般的に、商品の受け渡しよりも前に前払い、または後に後払いすることになります。よって、商品持ち逃げリスク、または支払いがされないリスクがそれぞれにつきまといます。

さて、やや聞いたことが少ない、荷為替手形ってなんでしょうか?

ja.wikipedia.org

輸出代金決済のために輸出者(売主)が振り出す為替手形に船積書類が添付されたもの」です。買主は、船積書類とともに購入しないと製品を入手することができないので、支払いが担保されます。よって、引き渡しと支払いの同時履行が可能になります。

問題に戻り、今回の場合、製品の出荷後に決められた銀行に対して支払われるという文意から、「送金」が正しいことがわかります。

次に、Cを考えてみましょう。 以下の2択になっていますね。

  • 物品の引渡しと代金の支払いの同時履行を実現することが困難である
  • 物品の引渡しと代金の支払いの同時履行を実現することはできるが、売主にとっては、買主が支払わないというリスクを避けられない

送金は、同時履行が難しいのでした。よって、「物品の引渡しと代金の支払いの同時履行を実現することが困難である」が正しいです。

 

よって、1が正解となります。