令和3年度 第 1 次試験問題 経営法務 第十一問 解答と解説

解答

 

4.

 

次の問題

この解答の問題

INDEXへ

 

解説

特許権等の侵害や発明の実施に関する記述として、最も適切なものはどれか。

引き続き、特許権に関する問題です。

 

1.他人の専用実施権を侵害しても、その侵害の行為について過失があったものと推定されない。

専用実施権って何だったでしょうか。特許権者、つまり発明者は自分で製品を製造、販売のために特許権を実施するのではなく、企業など第3社に譲り実施料を受けることができます。その際に、実施権を渡したものを専用実施権といいます。

専用実施権であっても、侵害があった場合、それは特許権者と同等にその過失は原則として侵害した側の過失と推定されます。(過失の推定)。よって誤りです。

 

2.物を生産する機械の発明において、その機械により生産した物を輸入する行為は、当該発明の実施行為に該当する。

いわゆる、物の発明と方法の発明についてです。

物の発明は、あくまでその物自体が実施権の範囲となります。方法に関しての発明は、その方法を使用して生産された物にも及びます。 

https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/document/2019_syosinsya/1_2_1.pdf

 この選択肢は、物の発明について述べていますので、それで生産したものには実施権の範囲は及びません。よって誤りです。

 

3.物を生産する方法の発明において、その方法により生産した物を輸出する行為は、当該発明の実施行為には該当しない。

上記2で出た、方法の発明に関してです。方法の発明については、その方法で生産された物に対しても実施権は及びます。よって、誤りです。

 

4.物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定される。

 これは判断が難しい選択肢です。ここまででできれば消去法で、これが正解といいたいところです。まず、この話は方法の発明についてです。そして、生産された物が、特許出願前には、知られた物ではありませんでした。じゃあ、それと同一の物がもし存在したとしたら、それは、この方法で生産されたものと推定すると言っているわけです。

 え、そんなのわからないじゃない。他の方法だってあるかもしれないじゃんって思うかもしれません。まったくその通りなのですが、言ってみれば、これは特許権の先勝ちの原理で、最初に特許権を得た人の権利が優先されて保護される考え方に基づきます。

 

以上より正解は、4となります。