4.
いわゆる簡易合併手続に関する会社法における記述として、最も適切なものはどれか。
簡易合併手続きに関する問題です。簡易合併手続きは、簡易組織再編のひとつであり、そのほかのやり方についても、どこかで目を通していきましょう。この辺は、一度、会社法の第二節 吸収合併等の手続あたりを読んでおくのが良いかもしれません。
なるべく、最初はシンプルに覚えましょう。まず合併には、基本的に株主総会決議による承認が必要です。この基本的にというのには、例外が存在します。それが今回の簡易合併の話です。
その例外の条件ですが、買う側の総資産が、買われる側の総資産の5分の1以下であることが条件になります。この場合、株主総会の決議を省略することが可能になります。
さらにこの場合、反対株主の株式買取請求権についても行使が不可となります。
1.簡易合併手続においては、存続会社のすべての株主に株式買取請求権が認められるが、存続会社における債権者保護手続は不要である。
前述したように、株式買取請求権については、認められます。逆に、債権者保護手続きについては必要です。よって、説明が逆になっています。
誤りです。
2.簡易合併手続は、吸収合併契約締結から合併の効力発生日まで 20 日あれば、実施することが可能である。
前述した債権者保護手続きについて、債権者の異議を受ける期間が1か月必要になります。これは、簡易合併においても必要であるため、省略不可となっておりますので、20日ではなく、1か月が必要となります。誤りです。
3.簡易合併手続は、存続会社及び消滅会社のいずれにおいても、合併承認に係る株主総会の決議を不要とする手続である。
これは買い手のみの話です。売り手までなくなってしまうと、いきなり被害を被る可能性もあるので、これは誤りです。
4.存続会社の全株式が譲渡制限株式であり、かつ、合併対価の全部又は一部がかかる存続会社の譲渡制限株式である場合、簡易合併手続を用いることはできない。
簡易合併手続きは、株主総会の決議を省略できると紹介しましたが、実はさらにその例外があります。ひとつが、まさにこの説明の通りで、存続会社が譲渡制限株式会社である場合です。この場合、通常の合併と同様に株主総会による特別決議が必要となります。
その他、買収先が資産よりも債務が多い場合や、株主の一定数が反対している場合などにおいて、例外になります。
この説明は正しいです。
以上より、正解は4となります。