令和3年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第三十八問 設問2 解答と解説

解答

 

4.

 

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解説

 

①顧客リレーションシップの構築は、マーケティングにおける最も重要な課題の 1つである。企業は優れた顧客価値と顧客満足の提供を通して顧客ロイヤルティを形成し、長期にわたって顧客から大きな見返りが得られるようマーケティングを実践する。

 

設問2は顧客ロイヤルティについてです。  

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ざっくりと、「顧客があるブランドや商品、またはサービスに対して感じる「信頼」や「愛着」のこと」ですね。ロイヤリティには顧客の状態から、以下の4つに分類されます。

  1. ロイヤルティ無し :心理的にも、行動的にも無し
  2. 見せかけのロイヤルティ :心理的にはロイヤルティが無いが、行動的なロイヤルティを示す。
  3. 潜在的ロイヤルティ :心理的にはロイヤルティが有るが、行動に表れていない。
  4. 真のロイヤルティ :心理的にも、行動的にもロイヤルティが有る状態。

 

 

1.顧客価値と顧客満足が企業によって実現されることを通してその企業のブランドにロイヤルティを形成した顧客には、真のロイヤルティを有する顧客と見せかけのロイヤルティを有する顧客が含まれる。

ロイヤルティを形成した顧客とは、心理的なロイヤルティがある存在である。つまり、潜在的なロイヤルティと真のロイヤルティが含まれます。よって誤りです。

 

2.自社製品を顧客に販売するときの収益性分析を行う場合、対象となる顧客は購買履歴が蓄積された顧客であり、真のロイヤルティを有する顧客と潜在的ロイヤルティを有する顧客が含まれる。

購買履歴には、行動的ロイヤリティを示した顧客が含まれます。つまり、真のロイヤルティと見せかけのロイヤルティが含まれます。よって誤りです。

 

3.新規顧客の獲得を目指す企業にとって、潜在的ロイヤルティを有する顧客セグメントは、製品購入の手段や状況が改善されれば有望な市場となり得るため、企業は潜在的ロイヤルティを有するすべての顧客をリスト化し、一人一人に積極的に勧誘を行うべきである。

難しいところです。正直、それも有りかと思います。ただ、潜在的ロイヤルティを有する顧客を一人一人積極的に勧誘する労力はかなり高く、成果が実る見込みもありません。どちらかというと、潜在的ロイヤルティが、行動にうつせない理由の上位を分析して、上位の理由から対応していく方が良いでしょう。よって、誤りです。

4.見せかけのロイヤルティを有する赤字顧客には、特定のサービス提供を控えるなどして最低限の収益水準を確保することが望ましい。あるいは、サービス手数料などの値上げによって退出を促すことも重要である。

これが正解なんですが、ちょっと引っかかるですよね。見せかけのロイヤルティとはいえ、購買しているはずなので、赤字にまでなるかなってのがあります。見せかけのロイヤルティとは、状況次第では、すぐに他の製品に乗り換える心理的なロイヤルティの無い顧客です。例えば安売りのときだけ購入したりするユーザとかを意図して赤字顧客と言っていると思います。

最低限の収益水準の確保しておくのが重要なのはまさにですね。あまりにもこういった顧客の比率が多くなると、まずいので退出させるよう促すのもひとつです。よって正しい説明です。

 

以上より、4が正解です。