令和3年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第三十一問 解答と解説

解答

 

1.

 

次の問題

この解答の問題

INDEXへ

 

解説

 

S社は国内外から仕入れたさまざまなスポーツ・シューズを、 9 つの自社の実店舗および数年前に開設した自社オンライン店舗において販売している。S社の今後の流通政策に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

デジタルマーケティングについてです。選択肢にも出てくる「オムニチャネル」がキーワードになりそうですね。

ja.wikipedia.org

 

オムニチャネルとは、「複数の販売チャネルを活用する「マルチチャネル」販売(小売り)の進化形で、リアル(実店舗)とネット(インターネット通販)の境界を融解する試み」とのことで、つまり、色んな販路を統合的にしましょうって戦略ですね。

特には、物理的な販売店舗と、オンラインストアが統合されて、何の差分なく購入ができる。試着とかもオンラインですらできるようになってきていたりしますよね。このような取り組みをオムニチャネルと言うわけです。

 

 

1.S社が店舗を最初の 1 つから現在の状態まで増やしてきた過程においては、顧客接点が物理的に増加した。今後同社がオムニチャネル化を進めるためには、顧客管理方法を変更することが必要であるが、現在の顧客接点をさらに増やすことは必ずしも必要ではない。

オンラインなど顧客設定をさらに増やす必要は無い時代です。よって正しいです。 

2.S社では、 9 つの実店舗で多くの顧客が商品を見たり試着したりした後にオンライン店舗で購入すると、オンライン店舗に売り上げが偏り、 9 つある実店舗の従業員のモチベーションが低下するリスクがある。このため、S社は顧客が実店舗からオンライン店舗へ流れることを防いだ方がよい。

むしろ昨今では、試着のためだけの店舗などが作られたりしています。オンラインショップで顧客が増えていくのは、歓迎すべきでこの顧客の流れをうまく活用すべきです。誤りです。 

3.近年は同一の消費者であっても、実店舗を利用する場合とオンライン店舗を利用する場合とでは、利用動機や購入頻度、単価などが大きく異なることが顧客データから分かってきた。このため、実店舗における顧客データとオンライン店舗のそれとは切り離して活用することが望ましい。

前半はその通りですが、切り離して活用することが望ましいとは限りません。人ごとにどのような機会にオンラインなのか、実店舗なのか分析したり、その割合を分析することによって、その傾向により戦略を考えることもできます。よって誤りです。

4.顧客対応のための組織体制や従業員の評価システム、在庫データの管理などの観点からは、各顧客には検討から購入までを一貫して同一店舗内で行ってもらうことが望ましい。S社がオムニチャネル化の推進の可否を今後検討していく上では、こうした点を十分に考慮する必要がある。

明らかに違いますね。オムニチャネルはその垣根をなくし、統合化が目的ですので、真逆なことです。オムニチャネル化を推進するためには、それに合わせた仕組み作りが重要です。誤りです。

5.消費者便益の観点からは、店舗外でもパソコンやスマートフォンなどからいつでも購入できるオンライン店舗に明らかにメリットがある。このため今後S社はオンライン販売を重視し、オンライン店舗に経営資源を集中することが望ましい。

望ましいとは言い切れません。利便性は疑う余地はありませんが、やはり様々な商品を手に取って直に見れるというところを重要視する顧客もたくさんいます。よって、自社顧客の分析により、戦略は検討していく必要があります。誤りです。

 

以上より、1が正解です。