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両利きの経営についてです。書籍も出ているので気になる人は読んでみましょう。
企業の長期的成長のためには、既存事業の深化(exploitation)と新規事業の探索(exploration)のバランスを取る経営が重要だと言われている。
既存事業の深化とは既存事業を改善していき、生産コストを下げたり、改善した商品を出したりするなど、同じ事業についての改善を進めていくことです。
新事業の探索は、新分野の開拓や既存事業とのシナジーを意識した事業の検討などなど、新しい事業を探索、研究を進めていくことです。
事業を何かやっていくとしても、その事業もいつかはすたれていきます。導入期、成長期、成熟期、衰退期のプロセスを通して、どのような事業もいつかわすたれていきます。そのため、ひとつのところに固執してしまい、衰退期を認めることができず継続的にお金を投資していくと、破綻してしまいます。そのため、新しい事業を平行して、バランスよく進めていくのが長期的な成長のカギになってきます。
C.A.オライリー(C. A. OʼReilly)とM.L.タッシュマン(M. L. Tushman)は、この深化と探索を両立する組織能力を両利き(ambidexterity)と名づけた。
上記の著書の中で、そのようにバランスの良い成長を遂げている企業を、組織能力の両利きを持った企業と言っています。
そして、そのアプローチには以下の3つがあると言っています。
A. 両利きの連続的アプローチ(Sequential Ambidexterity):時間の経過とともに組織構造をシフトさせることで、両利きを達成する
B. 両利きの構造的アプローチ(Structural Ambidexterity):組織内にリソースを共有したサブユニットを結成することで、同時に両利きを達成する
C. 両利きの文脈的アプローチ(Contextual Ambidexterity):個人が探索と深化の間で時間を分けられるように組織の機能を設計することで、両利きを達成する
さて、A, B, C を踏まえたところで、問題文を見ていきましょう。
1.既存事業ユニットと新規事業探索ユニットが経営理念を共有し、公平性を確保するために、共通の事業評価基準を構築する必要がある。
時間の経過とともに組織構造をシフトさせることで、両利きを達成するということで、時間経過、または市場の状況により、組織構造はシフトしていかなければいけません。よって、公平性であるわけではありません。誤りです。
2.既存事業ユニットと新規事業探索ユニットのオペレーションを効率的に管理するために、機能横断的なチームを設計する必要がある。
これも違いますね。構造上は、分離されることが重要であって、横断的なチームを設計する必要はありません。 「組織内にリソースを共有したサブユニットを結成する」ことにより、実現します。誤りです。
3.既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しつつ、異なる文化が生まれないようにするため、ビジョンを共有する必要がある。
分離することは重要であると言っていますが、特に異なる文化が生まれることを否定はしていません。
4.既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離し、探索ユニットに独立性を与えるとともに、全社的な資産や組織能力にアクセスする権限を与える必要がある。
まず構造上分離する点正しいです。そして、独立性を与えるとともに、全社的に共有されたリソースを活用するために、その使用権が与えられるというのは正しいですね。これが正解です。ちょっと回りくどい言い方なので、惑わされる可能性はありますが・・・。
以上より、4が正解となります。
以上より、4が正解です。