令和3年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第十ニ問 解答と解説

解答

 

5.

 

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解説

 

情報商材(情報財)に関してです。この辺は常識的な判断で、解答ができるはずです。

 

1.インターネットの普及によって情報財の流通コストは低下しているために、情報財をその一部でも無償で提供すると、広告収入以外で収入を獲得することは不可能になる。

「不可能」、またはそれに同等の言葉が出てきたら疑いましょう。本当に不可能かと。スマホゲームとかでは、ゲーム自体を無償で提供し、ゲーム内課金、例えばガチャを引くための~石を有料になっていたりと、そのビジネスモデルは多岐に渡ります。不可能なはずはありません。

 

2.情報財では、幅広いユーザーが利用するという特性から、スイッチングコストを生み出して顧客を囲い込む方策は、例外的な状況を除いて有効ではない

スイッチングコストとは、切り替えた際の慣れまでの苦労です。確かに物理的な財などに比べると、情報財は敷居は低い部分はありますが、ソフトウェアなどの操作性などもそこには含まれることからも、有効であると言えます。誤りです。

 

3.情報財では、複製にかかるコストが相対的に低いという特性から、個々の顧客が持つ価値に応じて価格差別を行うことは困難である。

ピンとこない文章かもしれませんが、価値に応じて価格差別を行うってのは、需要の高さに応じて値段を変動させるってことですので、何も特殊なことは言っていません。コピーにまったく金かからないんだから、どんなに需要高くても値段は変えられないって言っています。いや、そんなわけもなく、コピーのコストによることはなく、需要に応じてしっかり価格を変動されますね。誤りです。

 

4.情報財において、ネットワーク外部性が大きい状況では、顧客数が増えるほど、その情報財の価値は顧客間で希釈化され、個々の顧客が獲得する効用は低下する。

ネットワーク外部性」とは、使う人が増えれば増えるほど、便利になっていく性質のことを言います。よって、まったく真逆のことを言っています。誤りです。

 

5.制作・開発には多額のコストがかかるが、複製にかかるコストは低いという特性を持った情報財では、コモディティ化によって製品市場で激しい価格競争が生じると、複製にかかるコストの近傍まで製品価格が下落して、制作・開発にかかったコストが回収できなくなる可能性がある。

 これはその通りです。コモディティ化とは、いってみればソフトウェアの部品化、共通部分を標準化して、みんなで共用することを言います。開発コストは下がっていきますが、価格競争が発生していき、開発コストが回収できなくなるところも出てきます。その後のサービスでうまく回収していく、その関連商品で儲けを出すなど考えなくてはいけなくなります。正しい文章です。

 

よって、5が正解です。