令和3年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第六問 解答と解説

解答

 

5.

 

次の問題

この解答の問題

INDEXへ

 

解説

 

新規参入がしやすい業界はどこかっていう話ですね。しかし、何をもって良しとするのか、その基準のつけ方を覚えておかないと正確に解答するのは難しくなります。

ここで基準となってくるモデルが、ファイブフォース分析です。

ja.wikipedia.org

 

「供給企業の交渉力」「買い手の交渉力」「競争企業間の敵対関係」という3つの内的要因と、「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」の2つの外的要因、計5つの要因から業界全体の魅力度を測る。

 

この知識を念頭に置いておいて、A業界から見ていきましょう。

A業界:この業界には、既に 5 社が参入している。主要な原材料は老舗のF社から5 社に対して安定的に供給されている。A業界の製品は規模が類似した代理店 5 社を通じて販売されている。

色々惑わす文章がありますが、特に供給企業の交渉力について、強くなっているようです。ここに新しく参入するには、この主要原材料を既存5社に割り込んで、F社より獲得、もしくは代替品の獲得など、障壁が高くなります。

「供給企業の交渉力が強い」業界では、新規参入には向かない業界と言えるでしょう。 

 

B業界:この業界では、 4 社が事業を展開している。G社が主要な原材料に関する特許を保有しているために、これら 4 社は、原材料をG社から購入する契約を結んでいる。これら 4 社の製品は、H社が全量購入している。

まず、G社が特許を保有しているので、やはり代替品を探すか、G社から購入する必要がありそうで、供給企業の交渉力が強い状態です。また、H社が全量購入しているということで、どうやら買い手の交渉力も強いようで、そこに割り込んでいくのはかなりハードルは高いと言えるでしょう。

 

C業界:この業界には、既に 4 社が参入している。主要な原材料は 5 社から購入できるが、生産工程での安定性を考えると、その 1 社であるK社の原材料が優れているために、K社の販売数量は他の 4 社の合計よりも多いC業界の製品の販売を委託する企業は 5 社存在するが、その中でもL社が強い営業力を有し他の 4 社を圧倒した市場シェアを獲得しており、ガリバー的な存在である。

結局のところ、供給企業と、買い手企業が強い状態であるようなので、これも選ぶことはできません。

 

D業界:この業界では、 6 社が事業を営んでいる。D業界の製品は技術革新により年々性能が向上しているが、その性能向上は、主要な原料を供給するM社の技術革新を源泉としているために、全量をM社から調達している。D業界の製品は特殊なサポートが必要であることから、そのサポート体制を有するN社を通じて全量が販売されている。

やはり、供給企業と買い手企業の交渉力が強く、選ぶことはできませんね。

 

E業界:この業界には、既に 2 社が参入している。原材料の汎用性は高く、コストと品質で同等の水準となる供給業者が 10 社存在している。顧客は 5 つの7業界であり、いずれの業界でも、規模が類似した 10 社以上が事業を展開している。

明らか過ぎるほどに、これが正解です。強い供給企業も存在せず、買い手も幅があり、選択肢が広く、新規参入にとっては入り込みやすいです。

 

よって、E業界が正しく、5が正解です。