令和3年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第二十二問 設問1 解答と解説

解答

 

1.

 

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解説

 

企業価値評価に関する問題です。

その企業にどのくらいの価値があるのかっていう評価方法であり、代表的なところでM&A時に、買収元がその企業をどれくらいと評価するかの基準になります。

アプローチの仕方により3つに分けられ、

  • コストアプローチ
  • マーケットアプローチ
  • インカムアプローチ

に分けられます。アプローチが異なれば、評価も異なり、その評価の観点などによって企業の見え方も異なるということです。

 

コストアプローチ

企業が保有している資産や負債をベースにした評価手法で、代表的な手法は簿価純資産法時価純資産法です。特徴としては、客観的な評価が可能です。

 

簿価純資産法

簿価純資産を、そのまま株式価値として考える手法です。単純な簿価におけるその数値のみを価値として考えるので、算出方法は簡単ですが、市場価値などが加味されておらず、実際の企業価値が反映できていない場合があります。

 

時価純資産法

資産・負債を、一度、現時点での時価に落とし込んでから、株式価値を算出します。簿価純資産法に似てはいますが、時価に落とし込むことから、不動産などについては、市場価値が正しく反映されている部分があります。しかし、将来的な収益性などは考慮されておらず、簿価純資産法と同様に企業価値が反映しきれない部分はあります。

 

マーケットアプローチ

ざっくり言うと、似たモデルの企業と比較して評価したり、似たM&Aのモデルと比較したりするものです。コストアプローチと同じく、客観的な価値評価を行うことができます。その方法としては、以下の3つがあります。

  • 市場株価法
  • 類似会社比較法
  • 類似取引比較法

 

類似会社比較法(マルチプル法)

類似する会社の、株価倍率(マルチプル)を算出して比較する方法です。

その際に用いられる株価倍率には、いくつか種類があります。以下などが代表的なところです。

  • PSR:株価売上高倍率。時価総額を売上で割った値。
  • PER:株価収益率。株価が1株あたりの純利益(EPS)の何倍か。
  • PBR:株価純資産倍率。1株当たりに、純資産の何倍の値段か。

 

類似取引比較法

市場における、類似したM&A取引と比較する方法です。 

 

インカムアプローチ 

今後見込まれる収益や、キャッシュフローから、さらに、今後のリスクなどを考慮して、企業価値を算出します。他の手法に比べ、将来的な収益などを加味することができるので、実際の企業価値を表すことができる可能性がある反面、算出する者の主観などが入る場合があり、客観性に欠ける可能性があります。手法として、DCS法と配当還元法があります。

 

DCS法

将来その企業が生み出すキャッシュフローから、加重平均資本超す(WACC)を差し引くことにより、企業価値を算出します。

 

配当還元法

配当金と資本金を基準として企業価値を算出する方法になります。

 

 

では、問題を読んでいきましょう。前の文章は、どうやら、インカムアプローチのDCS法についてらしいですね。

企業価値評価の代表的な方法には、将来のフリー・キャッシュフローを [   A   ] で割り引いた現在価値(事業価値)をベースに企業価値を算出する方法である [   B   ] 法や、会計利益を割り引いた現在価値をベースとして算出する収益還元法がある。

A はそのまま加重平均コストですね。そして、BはDCS法です。

よって、正解は1です。