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損益分岐点分析は、その名の通り、損をするか、得をするかの分岐点を分析する、非常に重要な分析手法であります。Cost(コスト) Volume(数量) Profit(利益)の頭をとって、CPV分析とも言いますね。中小企業診断士試験でも、頻出問題のひとつですので、しっかり覚えておくのが良いでしょう。
まず、損益分岐点の定義をおさらいしましょう。
「売上高と費用が等しくなる、販売数量およびその費用のことを言います。」
これを考える場合、変動費と固定費を考える必要があります。イメージ的には以下のような感じになります。
つまり、売上高と(変動費+固定費)が交わった点が損益分岐点となります。また、変動率が与えられている場合は、損益分岐点売上高は以下のようにも表されます。
そして、実際の売上高に対する損益分岐点売上高の割合を、損益分岐点比率といいます。
損益分岐点比率が低ければ低いほど、赤字リスクが低く、安定した運営ができていることを示しています。しかし、ちょっと損益分岐点比率は指標としては良いですが、実際にどれくらい余裕があるのかって考えるときは、ちょっと考えにくいです。あと何パーセントの余裕があるかというのが、すぐに把握できません。そのため、1 から、損益分岐点比率を引いて、その売り上げの余裕度を表した値を、安全余裕度と言います。
安全余裕度=1 - 損益分岐点比率
では、逆に目標利益を設定した場合の、それを達成するための売上高はどのように計算すれば良いでしょう。以下のようになります。
目標利益を達成する売上高=(固定費 + 目標利益) / (1 - 変動費率)
さて、それでは、問題に戻りましょう。
1.安全余裕率は、損益分岐点比率の逆数である。
逆数ではないです。安全余裕度=1 - 損益分岐点比率で求められます。
除しては求めません。損益分岐点売上高 = 固定費 x (1 - 変動費率)から求められます。
3.損益分岐点比率は小さいほど赤字になるリスクが低い。
これはその通りです。
4.目標利益達成のための売上高は、損益分岐点売上高に目標利益を加算して求められる。
目標利益を達成する売上高は、(固定費 + 目標利益) / (1 - 変動費率) の式で求められます。よって、違います。
以上より、3が正解となります。