令和3年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第四問 解答と解説

解答

 

3.

 

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解説

 

のれん の問題です。

のれん_(会計) 

のれん (goodwill) とは、企業買収・合併 (M&A) の際に発生する、「買収された企業の時価評価純資産」と「買収価額」の差額のことである。連結会計では、投資価額と被投資企業時価評価純資産のうち持分相当の差額を指す。

概要

暖簾は店先に掛ける布で、物質的な価値はないが、顧客に知名度や品質などブランド価値を示す象徴である。無形のものへ投資することから、実際の金銭的価値に上乗せして評価するプレミアム分を指すようになった。企業結合や投資時は、被合併企業の資産負債は、時価で再評価しなおされ、合併企業と合算される。パーチェス法。投資時は、連結会計の中だけで被投資会社の資産・負債を時価評価する。

買収価額と被取得企業の純資産は、時価で再評価しても通常一致しない。多くの場合は、買収価額>被取得企業の純資産、となる。継続企業は企業活動が長く継続することで、資産の寄せ集めよりも、大きく無形の価値である超過収益力、信用、ブランドイメージなどを育てている場合が多い。企業買収や投資は超過収益力を実現させるために行う。のれんの会計上の処理方法は、企業のM&A戦略に大きな影響を与えることもある。

会社法適用以前は、連結決算では連結調整勘定として、単体決算では「営業権」ないし合併差益として表示され計上されていた。いずれも制度上廃止済み。合併差益と全く異なる会計処理となる。

のれんの本質

のれんは、企業活動を長く続けることによる超過収益力とすると経年で増加し、見積もりの自己創設も可能だが、無形の擬制資産の1つで償却で減じなければならず制度会計でのれんの自己創設は禁じられている

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日本の制度会計

償却必要説。日本はかねてから償却必要説を採っていた。

2006年度よりのれんの一括償却は原則禁止されることになった。国際会計基準とは異なり、日本においてのみ規則的な償却を行うことが強制される。のれん価値の持続すると思われる期間(20年以内)にわたり規則的に償却し、各期の償却額は販売費及び一般管理費として計上する。

これにより、企業結合の成果たる収益と、その対価の一部を構成する投資消去差額の償却という費用の対応が可能になる。また、のれんは投資原価の一部であることに鑑みれば、のれんを規則的に償却する方法は、投資原価を超えて回収された超過額を企業にとっての利益と見る考え方とも首尾一貫している。子会社化して連結する場合と資産及び負債を直接受け入れ当該企業を消滅させた場合との経済的な同一性に着目し、正の値であるのれんと投資消去差額の会計処理との整合性を図るなどの観点から、規則的な償却を採用した。また、その償却期間についても、平成9年連結原則の連結調整勘定の償却に係る考え方を踏襲し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって償却することとした。

 

『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年7月1日 (金) 01:09 UTC

ja.wikipedia.org

 

だいたい

 

1.自己創設のれんは、時価などの公正な評価額が取得原価となる。

自己創設のれん???と、選択肢一つ目から耳慣れない用語です。自己創設のれんとは、自分自身でのれんを見積もったものです。Wikiにもあります通り、制度会計において禁止されております。時価などの公正な評価額が取得原価になるわけではありません。よって、誤りです。

 

2.のれんは取得後、 5 年以内に毎期均等額以上の償却をしなければならない。

Wikiから、「国際会計基準とは異なり、日本においてのみ規則的な償却を行うことが強制される。のれん価値の持続すると思われる期間(20年以内)にわたり規則的に償却し、各期の償却額は販売費及び一般管理費として計上する。」とありますとおり、20年以内となっています。よって、5年以内というのは誤りです。 

 

3.のれんは被買収企業の超過収益力に対する対価とみなされる。

超過収益力とは、企業が継続していくうえで、蓄積されていった優位性や付加価値など、数値の上では見えないような潜在的な価値のことです。

そしてこの対価とは、まさにのれんのことであり、この説明は適切です。 

 

4.負ののれんが発生した場合、当該期間の特別損失とする。

これは被買収企業の純資産を下回る対価でM&Aが実行された際の、その差額を示しています。つまりはお得に企業買収ができたわけで、損失とならず、会計上は特別利益として会計処理が行われます。よって、誤りです。

 

以上より、正解は3となります。