4.
最後の問題は輸入の自由化による市場の変化です。
まず、現在の状況を整理ましょう。以下のようになっていて、生産者余剰と消費者余剰はどうなるでしょう?
消費者余剰は、以下の、赤三角(5)で、生産者余剰は青三角(1)+(2)ですね。
輸入が自由化されると、関税が撤廃されて、安い海外の商品が入ってきて、商品の価格が強制的に国際価格に遷移します。
下記グラフにおいて、均衡していたP0からP1へ移行していきます。
P1に価格が落ちるということは、まず需要が高まり、需要はN1まで高まります。しかし、国内の生産者の供給曲線から、その価格でできるのはN2までになります。
この場合の消費者余剰と生産者余剰を考えてみましょう。
消費者余剰は、赤三角(2)+(3)+(4)+(5)となります。
生産者余剰は、青三角(1)となります。
では問題を見ていきましょう。
1.自由貿易協定によって、消費者余剰は⑶と⑷の分だけ増加する。
違います。(2)(3)(4)(5)ですので、(2)(3)(4)が増加分です。
誤りです。
2.自由貿易協定によって、生産者余剰は⑴よりも大きくなり、消費者余剰は⑸
よりも大きくなる。
違います。生産者余剰は(1)になります。
誤りです。
3.自由貿易協定による、生産者から消費者への再分配効果は⑴と⑵である。
再分配効果は、生産者余剰の消費者余剰への移行のことです。
これは(2)だけですね。(1)は違います。誤りです。
4.自由貿易協定による生産者余剰の減少分は⑵である。
その通りです。これが正しいです。
5.自由貿易協定による総余剰の増加分は、⑵、⑶を加えたものである。
総余剰を考えると、増加分は(3)(4)です。
以上より正解は4です。