令和3年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第十五問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

無差別曲線については頻出なので必ず覚えておきましょう。

無差別曲線は、2つの財の組み合わせで等しい効用を得られる組み合わせの線を等高線のように結んだものです。右上にいくほど効用は高いことを示しています。

ここで代表的な無差別曲線の形を確認しておきます。 

 

まず、基本形です。例えば、プリンと杏仁豆腐とか。プリンが無いと、杏仁豆腐を代わりに食べてみるかって感じです。

 

基本形


次が補完財です。例えば、車本体とタイヤとか。必ず車本体1台につき、タイヤは4つですね。4つ以上あっても意味がないので効用は変わりません。逆に、タイヤが4つで車本体が複数あっても、どうしようもなく1セット分の効用です。そのため、あるXとYの組み合わせの点から、水平方向の線と垂直方向の線が伸びるL字型になっています。

Yがタイヤとすると4 という値で、Xがどんなに増えても同じ効用であることが表されているわけです。

補完財


次が、代替材です。財X1つにつき、財Y1つが置き換えることができるという関係です。ショートケーキがなくても、モンブランでも同じ効用を得られるって場合、ショートケーキとモンブランは代替材であると言えます。

ただ、代替材にはいろんなパターンがあります。この例は代替比率が固定の場合のグラフになりますが、代替比率が徐々に増えたり、減ったりというものもあります。

代替材


問題の題材になっているのは、ちょっと異質なパターンです。左下がり・右上がりになっています。これは財Xだけでは基本的に効用を得られないパターンです。どういうこと?となるかもしれませんが、財Xは喜ばしいものではないパターンです。

よく例にあがるのが、今回のようにゴミと弁当とか、騒音と楽器とかです。これらはどうしてもセットになってしまいますが、片方の財は効用に寄与しません。この場合、このような形状のグラフになります。

特殊形

 

では、問題に戻りましょう。

 

a X 財がおにぎり、Y 財がサンドイッチのように、不完全であるが代替可能性のある 2 財の関係を示している。

代替の可能性はありません。X財は効用に何も寄与しない財です。そのため、代替可能性はありません。誤りです。

 

b X 財がお弁当、Y 財が容器ゴミのように、通常の財と負の財の関係を示している。

その通りです。

 

c この無差別曲線上における X 財と Y 財の組み合わせでは、得られる効用は一定である。

その通りです。

 

d この無差別曲線上を右に行くほど、X 財を 1 単位増やすために減らさなければならない Y 財の量は増加する。

X財はそもそも効用に寄与していないので、増やす場合はY財を増やす必要があります。よって誤りです。
 

以上より、bとcが正しいので、3が正解です。