令和3年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第十三問 解答と解説

解答

 

5.

 

解説

需要・供給曲線についてです。問題を見ていきましょう。

 

1.技術の進歩によって供給曲線が左方にシフトし、嗜好の変化によって需要曲線が左方にシフトすると必ず均衡価格が上昇する。

まずは、技術の進歩によって何が起こるでしょう。

まったく新しい商品開発がされるとかもあるかもしれませんが、需要・供給曲線の時に技術の進歩というと、生産性の向上についてと考えてよいでしょう。つまり、端的に言うなら安く良いものを作れるということです。需要・供給曲線としては、価格を押し下げていくつまり下へ下げていく、結果として右方にシフトすることになります。

次に嗜好の変化です。需要が他の商品を移ることを意味していますので、需要は下がっていきます。つまりは、同じ価格で売れる数量(需要)が減るわけなので、左にシフトしていきます。

前半が間違いですね。誤りです。

2.技術の進歩によって供給曲線が右方にシフトし、所得の増加によって需要曲線が右方にシフトすると必ず均衡価格が上昇する。

技術の進歩は1と同様です。さて、次は所得の増加はどうでしょうか?所得の増加は需要を引き上げます。すると、同じ価格で売れる数量が増えていくわけですので。右方にシフトしていきます。

前半も後半も合っていますね。しかし、最後に均衡価格が必ず上昇すると言っています。これはどうでしょうか?以下のように、需要曲線と供給曲線の移動幅の違いにより、価格が下がる場合もあり、必ずとは言えませんね。よって誤りです。

3.原材料費の下落によって供給曲線が左方にシフトし、嗜好の変化によって需要曲線が右方にシフトすると必ず均衡価格が上昇する。

原材料費の下落すると、安く物が作れるようになるので、同じ価格でたくさんのものを売れるようになります。よって、供給曲線は右方にシフトします。

この時点では、誤りですね。

 

4.原材料費の上昇によって供給曲線が左方にシフトし、嗜好の変化によって需要曲線が左方にシフトすると必ず均衡価格が下落する。

3とは逆ですので、同じ価格で作れる量が減ります。よって、作法にシフトします。嗜好の変化は1と同じように、作法に変化しますが、必ず均衡価格を下げるでしょうか?そんなことはなく、それぞれの幅の違いにより、価格が上昇する場合もあります。2の逆ですね。よって、誤りです。

 

5.原材料費の上昇によって供給曲線が左方にシフトし、所得の増加によって需要曲線が右方にシフトすると必ず均衡価格が上昇する。

まず原材料費の上昇は4と同様に供給曲線は左方にシフト、所得の増加は2と同様で、需要曲線は右方にシフトです。さあ、この際、必ず均衡価格は上昇すると言えるでしょうか?これは言えますね。お互い向き合った逆方向に進む場合、交点は押し上げる方向にしかいきません。よって、これが正解です。

 

以上より、5が正解です。