令和3年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第十二問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

全要素生産性についてです。

特に技術進歩が例に出ることが多いですが、人の投入、資本の投入などによらない、技術的な進歩により、より効率的に生産が行えるようになって、GDPを上げることを、全要素生産性と言います。TFPとも言われます。

直接、TFPを割り出す計算方式は無いため、全体からTFP以外の要素を引いた残りとして割り出します。

 

a 新しい技術の開発は、全要素生産性を上昇させる要因のひとつである。

正しいですね。

 

b 経済成長率 =(労働分配率 x 労働生産性の成長率)+(資本分配率 x 資本投入の成長率)+ 全要素生産性の成長率、である。

コブ=ダグラス型生産関数。こんな式覚えている人いるのかな。単純には労働投入量の成長率と、資本投入量の成長率と全要素生産性の成長率なわけですが、必ずしも1人の人間が、1人分の貢献をするわけではないですよね。人件費を付加価値で割った値が、労働分配率です。資本分配率も同じ考え方です。つまり、10の付加価値を出し、9の人件費をもらっている人が10人増えると、100の付加価値を生み出し90の人件費ということです。経済的な成長は90となるわけですね。資本も同じ考え方です。

そして、よく見ると、労働生産性の成長率となっていますが、違います。ここは労働投入の成長率です。よって誤り。

 

c 生産要素の投入量が一定であったとしても、全要素生産性が上昇すると、生産量は増加する。

コブ=ダグラス型生産関数についてです。

生産量 = 全要素生産性 x 労働投入量 ^ 労働分配率 x 資本投入量 ^資本分配率

* ^は累乗を表す

となります。この式の通り、生産量は全要素生産性が上昇すると増加します。正しいです。

 

d 全要素生産性は、生産量を労働投入量で除した値である。

cにおけるコブ=ダグラス型生産関数から違いますね。すべての生産投入量で除した値になります。

 

やや難しい問題です。aとcが正しいので、3が答えです。

aは正しいことが分かりやすいですですが、5しか外せない。

かなり厳しいです。