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とりあえず曲線の意味合いが、問題文に書かれているので、とっつきやすいですね。しかし、BP曲線はちょっとあまり聞きません。国際収支を均衡させる利子とGDPの組み合わせです。
生産物市場と貨幣市場と国際収支を同時に均衡させるわけです。国内の生産物市場と貨幣市場の均衡については、IS-LM分析により学んできました。実際はさらに国際収支の影響を受けます。海外から通貨が流入してきたり、流出したりすれば、国内市場に影響が出るのは当たり前ですね。その影響を表しているのが、このマンデル=フレミング・モデルになります。
【完全資本移動】マンデル=フレミングモデルと為替相場【固定相場制・変動相場制】
問題から見ていきましょう。
a 金融緩和政策は、資本が海外から自国に流入することにより、自国通貨高を生じさせる。
金融緩和政策は、どうなるんでしたでしょう。貨幣量が増えていき、LM曲線を右にシフトするんでしたね。さてこのとき何が起こるでしょうか?
固定相場と、変動相場の場合で変わってきます。ほぼ間違いなく、マンデル=フレミング・モデルのときは、固定か変動かが示されるはずですので、注意しましょう。今回は変動相場のようですね。
固定相場の場合において貨幣が増えるということは、利子率は下がり、貨幣量が増えていきます。固定為替相場で、自国内で貨幣が増えてインフレしていくと、単純に海外からの輸入が増えて輸出は増えない状況になります。よって、貨幣が外に流出していってしまうわけですね。そして結局貨幣の供給量は調整されLM曲線は左にシフトして戻ります。よって、この施策は無効化されてしまいます。
次に変動相場の場合です。同じくまずはLM曲線が右にシフトします。変動為替相場の場合どうなるかというと、為替相場は円安(自国通貨安)の方向に進んでいき、この場合、輸入が減り、輸出が増える方向に向かいます。よって、IS曲線は右側にシフトしていき
さて、問題文に戻ると、自国通貨高ではなく、自国通貨安が起こるんでしたね。誤りです。
b 財政拡大政策は、資本が海外から自国に流入することにより、自国通貨高を生じさせる。
財政拡大政策は、IS曲線を右側にシフトさせるんでしたね。これも固定為替相場と、変動為替相場の2パターンで考えていきましょう。
固定為替相場の場合、 IS曲線が右側にシフトしていくと、利子が国際的な利子よりも自国が高くなります。資本の流入が始まります。そうした場合、中央銀行は外国通貨を買い、自国通貨を売り、LM曲線は右にシフトしていきます。
変動為替そうっばの場合、IS曲線が右側にシフトしていくと、利子が国際的な利子よりも自国が高くなります。そして資本の流入がされていき、為替相場はいわば円高(自国通貨高)状態の方へ進んでいき、輸出が減り、輸入が増えていきます。そうすると、IS曲線は左側に戻ってしまい、政策は無効になってしまいます。
c 金融緩和政策は、輸出を増加させることを通じて、自国の GDP を増加させる効果を持つ。
これは上のaの説明でした通り合っています。正しいです。
d 財政拡大政策は、輸出を増加させることを通じて、自国の GDP を増加させる効果を持つ。
これはbの説明でした通り、誤りですね。輸出は減っていってしまいます。誤りです
以上より、bとcが正しいです。正解は3となります。