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完全な知識問題です。貨幣乗数について。
貨幣乗数(かへいじょうすう、英語: money multiplier)とは、マネタリーベース/ハイパワードマネー1単位に対し、何単位のマネーサプライを作り出すことができるかを示すものである。信用乗数(しんようじょうすう、英語: credit multiplier)ともいう。
『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年3月13日 (土) 17:48 UTC、
マネタリーベースとハイパワードマネーは同義です。そして、意味は「現金の通貨と民間の金融機関が中央銀行に預けた預金の合計」のことです。
そして、マネーストック(マネーサプライとも言うが、今はマネーストックが多い)は、「金融機関と中央政府を除いた、国内の経済主体が保有する通貨の合計」です。
そして貨幣乗数は、「マネタリーベース/ハイパワードマネー1単位に対し、何単位のマネーサプライを作り出すことができるか」を示すものであると。
マネタリーベース(英: monetary base)とは、現金の通貨と民間の金融機関が中央銀行に預けた預金の合計のこと。
中央銀行通貨(英: central bank money)ともいい、市中銀行通貨(英: commercial bank money)と対になる概念で、それぞれ現金と預金に対応する。地域や分野によってはベースマネー(base money)、ハイパワードマネー(high-powered money)やそれを翻訳した強力通貨、高権貨幣とも呼ばれる。
『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2023年1月18日 (水) 11:29 UTC、
マネーサプライ(英: money supply)とは、金融機関と中央政府を除いた、国内の経済主体が保有する通貨の合計である。マネーストック(英: money stock)ともいい、これらを和訳した通貨供給量や通貨残高も使われる。
「金融機関」の範囲、「通貨」の範囲は単純に決められず、マネーサプライの具体的な数字の算定には、後述のようにさまざまな統計指標がある。
『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年9月4日 (日) 20:22 UTC、
あれ、Wikipediaをつなげても、しっくりこなかったのではないでしょうか。安心してください。僕もしっくりきませんでした。どこで見失っていったか確認していきましょう。
まずは、ハイパワードマネー(マネタリーベース)です。
単純には、中央銀行が発行している貨幣の合計値になります。もっと正確に言うと、経済に出回っている現金と、中央銀行が保有する当座預金(日銀当座預金)の合計値となります。
じゃあ、経済に流通するお金ってそれだけで、全部と言えるのでしょうか?実はそんなことはありません。経済においての取引では、投資信託など現金化されないお金が実はいろいろあります。つまり、マネーストックは、金融機関から経済に供給される柳津嘉平の総量となります。
上で言ったように、実際に市場に中央銀行から供給された貨幣量と、経済に流通しているお金には、乖離があります。その乖離を埋めるのが、貨幣乗数です。つまり、
というように、比率を出したものが貨幣乗数となります。Wikipedia に戻ると、「マネタリーベース/ハイパワードマネー1単位に対し、何単位のマネーサプライを作り出すことができるか」とありますが、今見ると、分かってきますね。中央銀行が1単位貨幣を供給(マネタリーベース)したら、それが、何倍のマネーストックを生み出すかということです。とりあえず、マネーストックとマネタリーベースの関係性が分かりましたね。
マネーストックとマネタリーベースには、差分があり、その比率は貨幣乗数で表されるということが分かりました。
では、差とはなんでしょうか?実際に経済に解き放たれている現金はどうやっても差が生まれません。つまりそれ以外の部分に差があるわけです。マネーストックは、貨幣化されていない部分のお金も含んでいると言いました。つまり、マネーストックは、現金と、金融機関が管理するお金全てと分けることができます。
マネーストック = 現金 + 預金全て
そして、マネタリーベースは、貨幣化されたお金全てです。市場に出回っている貨幣以外のものは、上記の「預金全て」を、現金化する際の「準備金」であると言えます。つまりは、
マネタリーベース = 現金 + 準備金
もちろん、金融機関が管理しているお金を、いきなり全て貨幣にしてくれと言われても、できないでしょう。ヨドバシのゴールドポイントで、いきなり全部の買い物されるとつぶれちゃうかもと、いうのと似ています。
じゃあ、この準備金として蓄えられているお金は、金融機関が管理する預金全てのうち、どれくらいの割合のお金に当たるのかを示しているのが、準備率です。
準備率 = 準備金 / 預金全て
となるわけです。準備率が高くなるということは、逆に言うと、準備金と預金全ての差分が低くなる、つまりマネタリーベースと、マネーストックの差分が低くなる、つまりは、貨幣乗数は低くなるということですね。
さて、現金と預金の話が出ていましたが、じゃあ預金の比率が高くなると何が起こるのでしょうか?
a マネー・ストックが 1 単位増えると、マネタリー・ベースはその貨幣乗数倍だけ増加する。
逆ですね。誤りです。
b 金融機関の準備率が高くなると、貨幣乗数は小さくなる。
上記の通り、合っています。
c 現金よりも預金で通貨を保有する傾向が高まると、貨幣乗数は小さくなり、マネタリー・ベースの増加に伴うマネー・ストックの増加の程度も小さくなる。
よくわかっていない場合トラップがあります。まず、現金と預金の比率が変わるわけですが、しかし、それでも準備率は変わらないという条件がつきます。
= (現金 + 全預金) / (現金 + 準備金)
= *1
= (A + 1) / (A + 準備率)
となります。そして、預金比率が上がるということは、Aの値は低くなります。え、Aが低くなったからって、貨幣乗数が上がるか下がるか分かる?って思うかもしれませんが、分かります。準備率はどうやったって、1以下にしかならないので、分子の方がでかいあたいというのが分かります。同じ値だけ分子と分母を差し引くと、その全体の値は上がります。まあ、値を当てはめて考えると分かりやすいですね。3/2 の分子、分母から等しく1を引くと、2/1 で、2になり、元の1.5 より大きくなっていますよね。
というわけで、貨幣乗数があがり、マネーストックも大きくなります。よって、誤りです。
景気に応じて、中央銀行は行き過ぎたインフレを抑えたり、消費をうながすための政策を行うのは分かりますよね。その際、最終的な目的は、「マネーストック」を増減させて、経済活動のコントロールをするということです。
マネーストックを操作するには、「マネーストック = 貨幣乗数 x マネタリーベース」からも分かるように、貨幣乗数を操作する場合、マネタリーベースを操作する場合があります。細かい政策については、ここでは話は省きますが、これらの値を操作することにより、中央銀行たる日銀はマネーストックを操作し、調整します。
よって、正しいです。
以上より、bとdが正しい文章となっており、正解は 4です。
*1:現金/全預金) + (全預金/全預金) / ((現金/全預金) + (準備金/全預金