設問1:4.
設問2:1.
令和4年の第7問も併せて見ましょう。
令和 4 年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第七問 解答と解説 - Nのビジネスブログ (hatenablog.com)
AD-AS分析 の問題です。まず式がずらっと並んでいますが、すでに見たことあるものばかりですね。ちょっとおさらいです。このような式は、まずはイメージを持つことが重要です。
AD = C + I + G
総需要 AD は、消費 C、投資 I 、政府支出 G を合わせたものに等しくなる。
C = C0 + (c Y - T)
いわゆるケインズ型消費関数です。色んな形で表されることがあるので注意しましょう。そして、上記総需要の式と連立式になることが多いです。
C 消費は、基礎消費と所得 Yに限界消費性向 cを掛けた数から、租税 Tを引いたものの和で表される。
AS = Y
総供給は、所得に等しい。
さて、設問に進みましょう。いきなり、覚えのある話ですね。
政府支出乗数と、投資乗数は同じ求め方で、まさに 1 / (1-c) でした。これを覚えていれば、すんなりとbとdが正しいとわかります。
よって、正解は4です。
ちなみに、租税乗数は、-c / (1-c)
そして、均衡予算乗数 = 政府支出乗数 + 租税乗数 = 1 になるという定理です。
a 政府支出の増加額と減税額が同じ規模のとき、景気拡大の効果は政府支出の増加の方が大きい。
まず、乗数とは1増やしたときに、どれくらいYが増えるかという値でした。
政府支出乗数は、1 / (1-c)で、租税乗数は、-c / (1-c)。そして、c は、0 < c < 1 でした。租税乗数は、-c x (政府支出乗数) で表されます。つまり、その絶対値は政府支出乗数よりも小さくなります。よって、政府支出の増加の方が大きいというのは正しいです。
b 政府支出の増加額と減税額が同じ規模のとき、両者の景気拡大の効果は等しい。
これは a で示した通り等しくはなりません。誤りです。
c 政府支出の増加に必要な財源を増税によってまかなったとしても、政府支出の増加による総需要の拡大効果は増税による総需要の減少分を上回るので、増加させた政府支出の分だけ景気拡大の効果がある。
これは重要な選択肢です。a の説明の通りでこれは正しいです。
d 政府支出の増加に必要な財源を増税によってまかなうと、政府支出の増加による総需要の拡大効果は増税による総需要の減少によって相殺されてしまい、景気拡大の効果はなくなってしまう。
これはaとcの説明の通りで、誤りです。
a と c が正しいので、1が正解です。