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相殺に関する問題です。意外と相殺に関しては、過去にも問われていることも多いので、注意が必要です。問題を見ていきましょう。まず、相殺についてですが、民法の方から要件を見てみましょう。)
1.債権が差押えを禁じたものである場合でも、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができる。
第五百十条 債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。
とりあえず、逆のことが書いているなと分かるので、誤りであることは判断ができますが、いったいどういうことを言っているのでしょうか?
まず、「差押えを禁じたもの」とは、たとえ、債務履行が滞って、差し押さえすることになったとしても、最低限の生活を守ることを目的に、差押えが禁止されている範囲があります。
この範囲を超えては、相殺に使うことはできませんよということです。よって誤りです。
2.差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債務者に対する債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできない。
このあたりの文章を初見で読んで理解するのはなかなか難しいです。本番でこれ読んで、判断つけるのは至難の業だと言えるでしょう。少しでも読んだ覚えがあるというだけで、ずいぶんと理解が違います。問題で引き出しを増やしつつ、関わる民法をざっと読んでおくことをお勧めします。
まず、「差押えを受けた債権の第三債務者」というのが、なかなか謎です。まず、債務者Aと債権者Aがいるはずですね。債務者が、債務の履行が滞り、差押えに至ったとします。そして、差し押さえた中に、債務者が、債権者となる債権があり、それに対する債務者が、第三債務者となります。
この文章は、本当にややこしいです。主語はまず第三債務者です。最後の方の文章を先に読んでいくと、第三債務者が、相殺をもって対抗することができると言っているんですね。誰にというと、こおの差押えしている債権者に対してです。
ざっくり言うと、差押え後については、もう債権者のものなので、相殺のネタにはなりませんよ。差押え前に取得したものなら、自分のものと言えるので相殺のネタになりますよってことですね。
よって、文章については誤りになります。
3.相殺の意思表示には期限を付することはできないが、条件を付することはできる。
これは相殺の方法及び効力にて語られています。
意思表示に対して、条件又は期限を付することはできません。ということで、文章は誤りとなります。
4.二人が互いに相手方に対し同種の目的を有する債務を負担する場合で、自働債権が弁済期にあれば、受働債権の弁済期が到来していなくとも、期限の利益を放棄することで、相殺することができる。
さて、これは第五百五条にてある通り、
>人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる
とあります。これについては合っています。
ただ、あんまり自働債権が弁済期とか、受働債権の弁済期って言葉はよく分からないですね。まず弁済期というのは債務の返済納期です。まあ、お金返さなければいけない納期ですね。
自働債権というのは、自分から働きかける債権といっても、よく分からないですが、つまりは相殺を言い出した方です。そして受働債権とは、それを受けた、相殺を持ち掛けられた方の債権です。
つまり、納期が合っていなくても、その期限の利益を放棄すれば、相殺は可能ですよってことですね。
以上より、解答は4です。