令和4年度 第 1 次試験問題 経営法務 第十八問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

 

時効というと、なんか殺人犯とか思い浮かんでしまうのですが、時効はそれだけの話ではないです。ただ、なかなかここまで覚えておくのっていうところは、あって、ややマニアックな問題なのではないでしょうか。これは問題文から見ていきましょう。

基本的な時効の考え方は、全て同じで、その何かしら被害を被ったことを知った時点、加害者を認識した時点からXX年、または例えしらなくてもXX年、というように設定されています。

1.共同相続人に対する相続回復の請求権は、時効の完成猶予や更新がなければ、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から 3 年間行使しないときは、時効によって消滅する。

これは時効の話というよりは、相続回復請求権の話になります。時効の定義のとおり、被害を被った事実を知った時点からXX年、知らなくてもXX年という話です。これはもう完全なる知識問題ですので、結論を言うと、「相続権を侵害された事実を知ったときから、5年間行使しないときは、時効によって消滅」または、「知らなくても、相続が発生してから20年間で権利は消滅」となります。

このへんはやや引っかけで、通常の不法行為、損害賠償請求権の時効については、その損害、加害者を知った時点から3年間、または、知らなくても10年で時効になり、権利が消滅します。しかし、生命・身体への被害に関しては、損害・加害者を知った時点から5年間、または知らなくても20年で時効になるとされています。

相続回復請求権は、後者のパターンになってくるので、やや特殊なやつです。ということで、これは誤りになります。

 

2.時効期間を延長する特約も、短縮する特約も、有効である。

これまた完全知識問題ではないでしょうか。何となくできないだろうねっていう感覚的に解答するくらしかない気がしますが・・・。結論だけいうと、延長することはまずできません。短縮することは場合によってできます。

 

3.人の身体の侵害による損害賠償請求権は、時効の完成猶予や更新がなければ、権利を行使することができる時から 10 年間行使しないときは、時効によって消滅する。

上で説明したように、「生命・身体への被害に関しては、損害・加害者を知った時点から5年間、または知らなくても20年で時効になる」と説明しましたね。よって、誤りです。

 

4.人の身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、時効の完成猶予や更新がなければ、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から 5 年間行使しないときは、時効によって消滅する。

これが正解になります。上の2つはかなりマニアックで答えにくい感じがしますが、これは明確に正解と認識できるはずですので、意外と答えられる問題かもしれません。

 

正解は4です。