令和4年度 第 1 次試験問題 経営法務 第三問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

以下の文章は、令和元年になされた会社法改正に関して説明したものである。空欄に入る数値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

なお、議案要領通知請求権とは、株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知すること(招集通知に記載又は記録すること)を請求できる権利のことである。
「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第 70 号)においては、株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置として、取締役会設置会社の株主が議案要領通知請求権(会社法第 305 条第 1 項)を行使する場合に、同一の株主総会に提案することができる議案の数の上限を[           ] に制限することとされた。

最近、改定された法律は狙われやすいですが、会社法の改正が令和が元年にあったみたいですね。これは狙われやすいです。

問題文を読んで理解していきましょう。

 

なお、議案要領通知請求権とは、株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知すること(招集通知に記載又は記録すること)を請求できる権利のことである。

議案要領通知請求権と言う用語が出てきていますが、説明が問題文に出ていますね。議案の要領を、招集通知の記載または記録することを請求する権利とありますが、いまいちピンとこないです。

 

そもそも株主(その会社の株を保有する人)には、その会社に対して、いろいろと権利があります。大きく権利は以下の2つです。

自益権:個人が利益を受ける権利です。配当を受け取る権利とかになります。

共益権:会社の経営に関わる権利になります。これにはさらにいかの4つの権利に分かれます。

  1. 議決権:役員の選任・解任などの決議を実施する権利になります。
  2. 株主提案権:株主総会にて取り扱う議題を提案する権利です。
  3. 株主総会招集権:ふつうは、代表取締役、いわば会社側が招集しますが、株主側が招集を依頼する権利もあります。
  4. 株主総会決議取消権:決議した議題について、何かしらの問題、法律違反や定款違反などなど、合った場合に、取り消しを求める権利です。

さて、今回の問題は、この中の株主提案権についてです。

実は、株主提案権の中には、提案する権利の他に、他の株主に対して、提案しようとしている内容を事前に通知を請求する権利、これが、議案要領通知請求権、というものがあります。事前に株主に例えば、この取締役を選出したいと思う!みたいな宣言をするわけですね。

「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第 70 号)においては、株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置として、取締役会設置会社の株主が議案要領通知請求権(会社法第 305 条第 1 項)を行使する場合に、同一の株主総会に提案することができる議案の数の上限を[           ] に制限することとされた。

しかし、昨今、この権利を濫用するケースが出てきてしまいました。

全てを株主に通知するのはコストも高く、混乱を招く場合もあり、上限を設けるようにしたのが、この対処です。その上限とは、通知できる上限を10個までとするよう定めたものです。

ということで、[ ] の中は10になりますので、4が正解になります。