4.
下表は、会社法が定める監査役設置会社における取締役と監査役の任期をまとめたものである。空欄A~Cに入る数値と語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
なお、本問においては、補欠取締役・補欠監査役が取締役・監査役に就任した場合の任期、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社となるための定款変更、公開会社となるための定款変更、監査役の監査権限を会計監査に限定する定款変更等による任期の終了は考慮しないものとする。
いろいろ重要な用語のオンパレードです。まず、問題そのものを理解していきましょう。
「会社法が定める監査役設置会社における取締役と監査役の任期をまとめたもの」
そもそもで重要な会社法についてです。会社法は、経営法務ではたびたび出てきます。まずは会社法について調べてみましょう。Wikiもかなりのボリュームになっています。というより、重要なことが多すぎて、困ってしまいます。
会社法(かいしゃほう、平成17年7月26日法律第86号、英語 : Companies Act)は、会社の設立、組織、運営および管理について定めた日本の法律。所管官庁は、法務省である。
同時に成立した会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号、以下「整備法」)では、関連法律を本法に適合させるための改廃が行われた。
会社法の意義等
会社法には2つの意味がある。1つは固有の法律である「会社法」(平成17年7月26日法律第86号)を指す。
もう1つは「実質的意義の会社法」で会社の利害関係者の利害調整を行う法律のことを指す。「実質的意義の会社法」には、会社法施行規則、会社計算規則、電子公告規則、社債株式等振替法、担保付社債信託法、商業登記法などが含まれる。
その他にも会社にかかわる法律は多数あり取引においては民法や商法、税制に関しては法人税法、また競争政策上会社に制約を課す私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)など多岐に渡る。
「実質的意義の会社法」が持つ特徴は利害関係者の利害調整を主な目的として会社の組織、運営について定めたルールという点である。ここで言う「利害関係者」は主に株主と会社債権者を指す。
構成
役割
会社法の役割として、第一に会社の取引相手を保護するという役割がある。具体的には、会社の法律関係、事実関係を明確にし、法人格を与え、必要な情報を開示することで保護が図られている。
第二に、利害関係者の権利利益を保護し、会社制度によって利益を得やすい仕組みを作ることが挙げられる。株式会社では利害関係者たちの合意があれば、定款によって異なる定めができる規定が多数存在する。柔軟な制度にすることで利害関係者の利益を実現するのが目的である。
第三に、法律関係を明確にすることができる。例えば、「会社の組織に関する訴え」(828~846条)の多くは、一定の期間に訴訟をしなければ法的主張ができないようになっている。これによって、法律関係を早期に安定させることができる。
もっとも、これらの役割は会社法のみならず、様々な法律、慣行などによっても果たされている。
会社法上の会社の種類
現在会社法の規定する会社の種類は4種類あり(2条1項)、横断的な規制の下に置かれる。
株式会社
- 社員全てが有限責任からなる会社。株主の責任は、その有する株式の引受価額が限度となる(104条)。
持分会社
- 合名会社、合資会社および合同会社を持分会社と総称する。
- 合名会社
- 社員全てが無限責任社員からなる会社。
- 合資会社
- 無限責任社員と有限責任社員からなる会社。
- 合同会社
- 社員の全部が有限責任社員である会社。会社法で新たに導入された会社形態。出資の範囲内に責任が限定される物的会社の安全性と、人的会社において認められる内部規律の高い自由度を併せ持つ組織として会社法により新たに誕生した。
- 持分会社の利点である幅広い定款自治やシンプルなガバナンス構造などがメリットとしてあり、間接有限責任のメリットと併せて普及が見込まれた。旧有限会社の新規設立よりも設立費用が低減できるメリットもあり、将来に株式会社に移行するための前段階としての会社形態としても有効といわれている。一方で、株式会社から合同会社へ転換する動きも一部では見受けられている。
- 合同会社は、法務省により法人格を有する企業形態として立案された。いわゆる日本版LLC (Limited Liability Company) として米国のようなパススルー税制(構成員課税)が期待されたものの、財務省は法人格を有することなどを理由として法人税の課税対象から外すことを承認しなかった。
- そこで、経済産業省は有限責任事業組合(後述)という会社形態を創設した。
株式会社
株式
株式の発行につき、証券(株券)を発行しないことが原則となった。この点は社債と同様である。 株式会社は、定款で定めることで株券を発行することができ、この場合その会社を「株券発行会社」という(会社法117条7項かっこ書き) 。
定款に定める発行可能株式総数(いわゆる授権資本枠)は、株式消却により減少する旨の記載が定款にない場合には、減少しないこととなり発行済株式数のみが減少することとなった。
当該株式の取得に発行会社の承認を要する旨のいわゆる譲渡制限株式は、全株に共通する内容として、また、種類株式ごとに種類として規定することも可能である。
株式会社が一定の事由が生じた場合には、株主の同意なく発行株式を取得することができるとする取得条項付株式の発行が認められている。
複数の種類株式を発行する株式会社は、株主総会の特別決議により特定の種類株式を全部取得できる旨の全部取得条項付種類株式を発行することができる(これにより、いわゆる「100%減資」が必要な企業再生が容易となることが期待される)。
株式の分割、併合により生じる1株に満たない端数については、会社がまとめて売却、換価して代金を交付するものとされた。
株式会社の機関設計[編集]
株式会社には、株主総会および取締役は置かなければならない。その他の機関である取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人または委員会については、会社の規模(大会社か大会社でない会社か)や株式の譲渡制限の有無(公開会社か公開会社でない会社か)などに応じて、それを設置するか否かを選ぶことができ、または、設置、不設置の義務が生じるなど、規律の違いがある。任意に設置できる機関の選択により、39通りもの種々の柔軟な機関設計が可能となる。
なお、2015年5月27日に施行された「会社法の一部を改正する法律案」において新たに監査等委員会設置会社が導入された。
資本金、配当、計算
資本金の最低金額に制限はない。資本金を1円として各種の会社を設立することができる。また、設立後に一定の手続きを行うことによって資本金の額を0円にする事も可能。
剰余金の配当などの資本の部における計数の変動は、定時株主総会に限らずいずれの株主総会において原則可能である。純資産額300万円未満の株式会社については、配当などの方法による株主に対する剰余金の配当が禁止される。
配当については、毎事業年度末に「連結配当規制」の適用を受けるか受けないかを選択できる。これは、事業が企業グループで行われている場合で、企業グループとして財源規制を受けるもの。なお、単体ベースで黒字であることが必要であり、その上で、子会社の赤字と連結して残った剰余金を配当することとなる。本体が赤字である場合は連結配当規制の適用は受けられない。
会計監査人設置会社は、連結計算書類を作成することができ、大会社である有価証券報告書提出会社は、連結計算書類の作成が会社法上も義務付けられている。
社債
株式会社、持分会社のいずれの会社も社債の発行が可能である。社債を規律する他の特別法としては、担保付社債信託法、社債等登録法、社債、株式等の振替に関する法律が挙げられる。
社債は、株式同様、原則として証券(社債券)を発行しない。社債券は、社債券を発行することを発行決議により定めた場合にのみ発行することができる。また、株式と異なり、社債の種類ごとに券面の発行・不発行を選択することができる。
社債は、銘柄統合をできるようになった。
組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転等
組織変更
会社法における組織変更とは、株式会社が持分会社になること又は持分会社が株式会社になることをいう(2条26項イ、ロ)。旧法では合資会社と合名会社、株式会社と有限会社のそれぞれの間のみでの組織変更が認められていた。4種類の会社形態のいずれからも他の会社形態への変更も可能であるが、持分会社間での会社形態への変更は、ここでいう組織変更にはあたらない(社員が負担する責任の限度の変更により行われるため、手続として可能である)。
なお、特例有限会社は通常の株式会社に変更することができる。
M&A
会社のM&A(合併、買収)に関しては、いわゆる黄金株や、より実践的な「ポイズン・ピル(毒薬条項)」等を用いることが、会社法上明示で認められることから、これらを買収防衛策・買収対抗策として用いることが想定されている。関連して、東京証券取引所は当初、投資家保護に問題があるとして、黄金株の導入を原則として上場廃止事由とする方針を打ち出していたが、後に、株主総会での普通決議により黄金株の拒否権を無効にできるとする「停止条項」を定款に盛り込むことを条件に容認する方針に転換している。
合併の対価として、存続会社の株式等に限らず金銭等を含めたその他の財産の交付を行うことができるものとされている。これによりいわゆる三角合併や交付金合併も可能となる。かかる規定は会社法施行の日である2006年5月1日から1年間は適用されないものとされている。
また、合併の対価として何も交付しないこと(無対価合併)も明文で認められた(744条1項5号で「金銭等・・・を交付するときは」と規定し、無対価もあり得る旨の規定ぶりとなっている。)。
会社整理の廃止
旧法に定められていた会社整理は廃止された。同手続は、民事再生法の成立(2000年4月施行)により実質的に存在意義が失われていた。
「会社法」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年11月25日 (金) 15:38 UTC、
URL: 会社法 - Wikipedia
いろいろ出てきました。そのほとんどは、ある程度覚えておかなければいけない知識ではありますが、Wikiを読んでいるだけで覚えたら苦労しないです。さらっと今回は読んでおいて、問題に戻りましょう。さて、つづいては監査役設置会社です。
まず、監査役ってなんでしょう。監査役は、株式会社において、取締役や会計参与の業務を監査するための機関です。株主総会、取締役(または取締役会)と並ぶ株式会社の機関の一つであって、会社経営の業務を監査して、また会計監査により、違法な行為、著しく不当な職務執行行為がないかどうかを監査し、それを阻止・是正するのが職務です。また、会社と取締役の間での訴訟においては取締役に代わって会社を代表する役目も担います。
そして、監査役設置会社とは、「業務監査を行う監査役を置く株式会社、または、会社法の規定により監査役を置かなければならない株式会社」のことです。
そういえば、Wikiに出てきていましたね。監査役。以下の表です。
今回は、監査役を置くことが、義務か任意かできないかは置いておきましょう。とはいえ、公開会社はどうやら絶対に置かなければいけないらしいな。公開会社でなくても、会計監査人を置かない場合は義務で、そうでない場合は任意と。そして、指名委員会等設置会社については設置できないということは、問われることも多いので、覚えておきましょう。
今回の問題は、監査役設置会社における、監査人と取締役の任期です。まとめるとざっ以下のような感じです。
役職 | 会社種別 | 通常任期 |
取締役 | 公開会社 | 2年(延長不可、短縮は可能) |
非公開会社 | 10年まで延長可能 | |
委員会設置会社 | 1年 | |
監査役 | 公開会社 | 4年(延長不可、短縮不可) |
非公開会社 | 10年まで延長可能 | |
委員会設置会社 | 設置できない。 |
ポイントは、会社の形態により、延長の可否が出ることですね。また、非公開会社において、確かに延長は可能となっていますが、その場合、定款(ていかん)にて任期の変更をする必要があります。定款とは、会社の基本規則などが示されたものです。また、監査役については、短縮が不可となっており、ここが取締役と違うところとして狙われます。
問題文を読み続けましょう。
「補欠取締役・補欠監査役が取締役・監査役に就任した場合の任期、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社となるための定款変更、公開会社となるための定款変更、監査役の監査権限を会計監査に限定する定款変更等による任期の終了は考慮しないものとする。」
まあ、今はこのへんは他に外乱はありませんよって言っているだけと思いましょう。
では問題となる表に進みましょう。
まず、Aは取締役の任期についてすでに解説しました。2年でしたね。Aは2年となります。非公開会社については、任期の延長が定款の変更により可能でした。それは10年まで延長が可能でしたね。Bは10年です。任期の短縮については、公開・非公開会社関わらず監査役は、短縮不可でしたね。これは取締役と違いますので、注意です。
以上より、A2年、B10年、C不可が正解になり、4が正解です。