令和 4 年度 第 1 次試験問題 運営管理(オペレーション・マネジメント)第三十四問 解答と解説

解答

 

2.

 

解説

 

チェーン小売業の物流センターの機能に関する記述として、最も適切なものはどれか。

チェーン小売業についてというよりは、物流センターについてです。知っているようで、物流センターとはなんなのかってよくわかっていないひとも多いのではないかと思います。

なんとなくで、荷物が運び込まれるところだなあってのは分かってはいるのですがね。物流センターの役割はいろいろありますし、その形態によって、これはやるけど、あれはやらないというようように物流センターの種類もあります。役割を全て書き出すなら、以下のような感じでしょう。

 

<物流センターの役割>

荷役

商品の入荷・出荷を担います。商品の在庫が必ずしも、店舗で保管されているわけではありません。大量の商品の保管は、物流センターで行われることが多いでしょう。入荷した商品は、検品して在庫として保管します。そして、保管していた在庫から各店舗・消費者からオーダーがあったときに出荷します。出荷するときに、保管された大量の商品の中から、オーダーに応じて必要な商品を集めることをピッキングと呼びます。

 

流通加工

物流センターでは、ただ単に、商品を保管するわけではなく、ときには小売店に入る前の加工を行います。例えば、商品のセット(3本セットとかクリスマス特別セット)を、各商品からまとめる作業や、値札をつける作業、補修など、その加工種類は多岐にわたります。肉の加工とかも入る場合がありますね。

 

包装・梱包

流通加工が終わり、出荷できるよう最終的な包装や梱包を行います。包装・梱包には以下の種類があります。

 

個装:商品個別の包装です。

内装:小売店に送るため、ある程度の数をまとめて包装を行います。

外装:段ボール等に梱包し、さらには落下対策などがされた緩衝材などで包んだりします。

<物流センターの種類>

物流センターをおおまかに分けると、以下の3種類があります。

 

TC(トランスファーセンター/通過型センター)

なんとなく日本語名から分かりますね。商品を保管せずに、そのまま素通りします。商品を入荷したら、そのまま仕分けして、すぐに出荷する形態ですので、商品を在庫するような機能は持ちません。工場からお弁当を大量入荷して、そのまま仕分けして、各小売店へ出荷するなどがイメージが沸くかなと思います。

さらに、TC型物流センターは、以下の2種類に分かれます。

  • ベンダー仕分型
    製品を供給する側が事前に仕分けをした状態でセンターに送る形態です。センター側は仕分けされた状態なので、出荷時のピッキング作業の負荷がほとんどありません。
  • センター仕分型
    入荷後に、センターが仕分けを行います。センターは注文の管理機能や、ピッキング処理を有する必要があります。

 

DC(ディストリビューションセンター/在庫型センター)

これが皆さんが想像する物流センターでしょうか。入荷した商品などを保管して、消費者・小売店から依頼があったときにピッキングして出荷します。Amazonなんかが大きな物流センターを持っていますね。ポイントとしては、DC型の物流センターには、コストが大きくかかり、また運用も大変ということでしょうか。

 

PDC(プロセスディストリビューションセンター/流通加工・在庫型

DC型のひとつとも言えそうですが、DC型物流センターに、流通加工の機能をパワーアップさせたイメージです。DC型でも、流通加工が無いわけではありませんが、PDCはさらに小売店がそのまま商品を出せるように様々な加工機能を有しています。鮮魚の処理、肉の加工などもここに含まれることが多いです。

 

さて、それでは問題文に入ってみましょう。

 

1.通過型物流センターの機能は、仕入先の在庫量と各店舗の在庫量を調整することである。

TC型は、在庫せずに入荷したら仕分けして、そのまま出荷する形態をとり、基本的に在庫を保管することはありません。よって、これは誤りです。

 

2.通過型物流センターの入荷形態には、事前に商品を店舗別に仕分けて入荷する場合と、事前に仕分けをせずに総量をそのまま入荷する場合がある。

この説明は、TC型のベンダー仕分型と、センター仕分型の話ですね。この通りです。よって、これは正しいです。

 

3.物流センターから店舗へのカテゴリー納品では、カテゴリー区分を細かく設定することにより、納品車両と商品が入った折りたたみコンテナ内の積載効率を高めることができる。

カテゴリー納品の話は、上ではされていなかったっですね。カテゴリーを細かく設定すると、当然ひとつひとつのカテゴリーの量は減っていきます。そのため、カテゴリーごとにコンテナに入れるような場合隙間が発生する可能性が高くなり積載効率だけを見るなら低くなるはずです。よって、誤りです。

 

4.物流センターを利用した取引では、商品の所有権の移転経路に一致するように物流経路を設定する必要がある。

所有権の移転に関してです。「製造業」→「卸売業」→「小売業」という流れで所有権はどのように移行するのでしょうか?基本的には、卸売業で在庫された際には、所有権は「卸売業」が持ちます。つまり物流センターのものとなります。そして、仕入れ先の小売業に引き渡した時点で、所有権は「小売業」に移行します。

上記のような例では、所有権の移行と、物流の経路は同一と言えるでしょう。しかし、所有権には様々な形態があるのは皆さんご存じの通りです。生産者が所有権を有したまま、販売のみを委託する形態や、卸売業に所有権を移転しないまま運ぶケースもあります。そのため、経路が一致するとは限りません。誤りです。

 

5.プロセスセンターは、在庫型物流センターの機能を補完するための小型拠点として、主に完成品の積替えと仕分けの機能を果たすセンターである。

プロセスセンターは、PDCのことです。よって、流通加工を強化したDC型物流センターのことですので、これは誤りです。

 

以上より、2が正解です。