2.
小売業の価格政策と特売に関する記述として、最も適切なものはどれか。
小売業の価格政策に関してです。まず、基本的な価格政策として以下の3つを覚えましょう。
- ハイロー戦略
- EDLP(Every Day Low Price) 戦略
- FSP戦略
ハイロー戦略
これはある意味よくある戦略で、その日の目玉商品を用意して割引を行う戦略です。卵10個パック99円とか、チラシで見かけることありますよね。そして、それにつられてきたお客さんに、それ以外の商品も買わせる戦略です。
ハイが、通常値段、ローが、割引時間で、ハイとローを操作しながら、集客を促進する戦略ということです。ポイントとしては目玉となる特売品は、下手をすると赤字覚悟まで価格を落として、注目度を上げる必要があります。最大の目的は集客であり、その他の商品も合わせて買わせていかなければ、失敗に終わってしまいます。また、広告をして人に知れ渡らなければいけないので、広告費がかかります。
EDLP(Every Day Low Price) 戦略
どちらかというと、規模の大きな小売業がやる戦略であり、毎日、割引価格で商品を提供する戦略になります。この戦略をするためには、徹底したコストカット、広告費削減、オペレーションの効率化、物流の削減などが必要になってきます。
毎日が割引がされるので、広告を出す必要は無いです。常に大量に仕入れることにより、仕入れ先との信頼関係を構築して、常に価格を抑えて仕入れることが必要になります。
FSP戦略
Frequent Shopper Program の略称で、頻繁に来てくれる顧客を優遇し、割引することにより、顧客のリピート率を高める戦略になります。顧客は、割引のサービスを受けるため、この店を優先的に選ぶこととなり、さらに、行けば行くほどサービス率は高まることにより、リピート率が高まります。
が、これは、仕組み作りにまずコストがかかります。IT化による昨今は、仕組みを構築しやすくはなっており、メンバーズカードや、専用のクレジットカード、スマホのアプリなどが利用されます。
利点として、顧客管理がしやすくなり、どれくらいの年代の人が利用し、どれくらいの頻度で来るのか、どんな商品に人気があつまっているのかなど、データベース化され、今後の戦略に取り入れやすくなります。
では、問題に入りましょう。
1.EDLP 政策の場合、プライスラインは 1 つしか設けない。
プライスラインとは何でしょう?これは、同じ種類に設定する価格帯のことですが、例えば牛乳は、安いものから198円、218円、248円と3種類の価格帯があったとすると、それぞれの価格が、プライスラインと言います。
EDLP政策をしても、別に種類による価格帯は複数あるのは当たり前ですよね。1つである必要はありません。よって、これは誤りです。
2.定番価格を高く設定していても、特売を頻繁に繰り返すと顧客の内的参照価格は低下する。
内的参照価格とは、個人がものを購入する際に、過去の購入経験からその商品を高い・低いを判断するための基準価格が、内的参照価格と呼びます。つまり、実際につけられた通常価格ではなく、顧客の基準による価格感ということです。
つまり、問題文のように通常価格が200円だったとしても、常に半額で売っている商品の内的参照価格は半額の100円となるわけです。これは正しいです。
3.特売による販売促進は、価格弾力性が低い商品ほどチラシなどで告知したときの集客効果が高い。
価格弾力性は、散々別のところでも出てきましたが、値段を下げたときの需要の増え具合で、弾力性が高いほど、値段を下げる効果が高いということです。ということで、これは逆に書かれていますね。誤りです。
4.ハイ・ロープライシング政策では、特売時における対象商品の販売数量を最大化することで店全体の利益率が高まる。
ハイロー戦略です。ハイロー戦略において、目玉商品は赤字覚悟のレベルで割引を行うことも少なくありません。つまり、これ自体をいくら販売数量を最大化しても、売り上げはほとんどあがりません。よって誤りです。
5.端数価格には、買物客に安さを感じさせる心理的効果はない。
端数価格とは、98円など、切りの良い価格よりも割引感を顧客には心理的効果を与えます。問題文は誤りです。
以上より、正解は2です。