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会話問題です。キーポイントが分かれば、たいてい全部を把握する必要は無いことが多いです。とりあえず、X氏と診断士の会話をひとつずつ追っていきましょう。
X氏:「最近は、近所の小学校の生徒数が少なくなっているので、子供向けの文房具の売上が落ちています。品揃えを変えていこうと考えているのですが、アドバイスをいただけますか。」
子供向け文房具の売り上げが落ちている。
その改善のため、品揃えを変えようとしている。
診断士:「品揃えの計画を立てるには、まず店舗の商圏における消費者のニーズを理解することが大事です。小学生が減っているということなので、新たな顧客層をターゲットにしたいですね。」
商圏におけるニーズの分析を提案
新たな顧客層を開拓の提案
X氏:「店舗の徒歩圏には高齢者が多く居住しているのですが、あまり来店していません。高齢者の方に使ってもらえる店にしていきたいと思います。」
高齢者は現状来店していない。
高齢者層を取り込みたい。
診断士:「ニーズに合った商品を品揃えすることで、購買の機会を増やしたいですね。どのようなニーズがありそうですか。」
ニーズを確認
X氏:「自治会では、高齢者の絵画サークルなどをやっているようなので、絵の具やデッサン用の鉛筆などの品揃えを増やそうと考えています。」
高齢者層のニーズについて。絵具、デッサン用鉛筆など。
診断士:「買上点数を増やして客単価を高めるために関連購買を促進できる取り組みをするのがよいでしょう。今はあまり来店されていないということなので、販売促進をして接客にも力を入れて常連客を増やすことが重要です。常連客の満足度を高めると、友人などへ口コミで店舗を薦めてもらえることも期待できます。」
客単価を高めることが重要。関連商品の購買を促進する取り組みの提案。
顧客の呼び込みのため、接客に力を入れること。
常連客を増やす。常連客の満足度を高める。
口コミで、さらに広がる。
X氏:「分かりました。」
診断士:「ただ、文房具は毎日買うものではありません。そこで、別の取り組みとして、高齢者が好む菓子や飲み物など、今まで販売していない商品カテゴリーの品揃えをしてはどうでしょうか。また、商品を販売するだけでなく、ワークショップなどを開いてもよいかもしれません。」
商品分析。毎日の購買は望めない。頻度は高くない。
高齢者をターゲットにして、好む菓子、飲み物なども品揃えに加えることの提案。
販売だけでなく、ワークショップの提案
さて設問1に進みましょう。「関連購買の促進」に関してです。つまりは、関連購買を促進するサービス、仕組みはどれでしょうということです。少し小難しいことを言うとこれは、ISM(インストア・マーチャンダイジング)に関する問題です。
まあ、実は、素直な心で読めば、この問題はそんな知識が無くても、解けると思いますが。知識として解説します。
ISMとは、店内における購買促進活動のことで、サービスや陳列、装飾などにより、顧客の購買を促進することが目的であります。
ISMは大きくは2つに分かれます。
- ISP(インストアプロモーション):いわゆる販促活動です。
- スペースマネジメント:陳列や、動線分析、レイアウトなどです。
今回の話は、関連商品の販売を促進する活動となりますので、ISPの方を詳しく見ていきたいと思います。
ISPも、大きくは戦略の方針の観点から2つに分かれます。1つは、値引きなど価格を操作することにより、顧客の購買意欲を高める戦略で、価格主導型と呼びます。そして、もう一つが逆に非価格主導型と呼ばれ、価格ではなく顧客のニーズに訴えかけて、その購買意欲を高めさせるものです。試食コーナーなどでの焼肉を焼いているのとか、まさにそれですね。それぞれさらに詳しく見ていきます。
■価格主導型には、さらに以下の戦略があります。
・値引き・割引:単純な、値引きによる販促です。
・ポイントカード:ポイント制による値引きなどの特典による販促
・バンドル:まとめて買うと1点割引というように複数買ってもらう戦略。
・増量:今なら3本増量など、量を増やす戦略
■非価格主導型には、さらに以下の戦略があります。
・実演販売:試食や、化粧品のデモなど。
・CMD(クロスマーチャンダイジング):関連商品を一緒に陳列することにより、衝動的に関連商品をかわせる戦略。
・ノベルティ:記念品をつけるなど。
それでは問題を見ていきます。
1.5 回買うと特典を与えるスタンプカードによる販売促進を行う。
これは、スタンプカードによる特典を与える戦略は、価格主導型に含まれますね。よって、これは誤りです。
2.同じデッサン用の鉛筆を 10 本買うと 1 本おまけをつける。
これはバンドルの戦略ですね。よって誤りです。
3.高齢者が好みそうな園芸用品を品揃えする。
これは単純に品揃えでしかないので、販促には入らないです。
4.デッサン用の鉛筆と一緒に使う鉛筆削りと消しゴムを同じ棚に陳列する。
これはまさにクロスマーチャンダイジングの例ですね。こうして関連商品の購買機会を増やし、消費者の購買につなげるわけです。これが正しいです。
5.来店目的になりやすい商品を品揃えする。
これも単なる品揃えですので、誤りです。
よって、答えは4です。