5.
TPM(Total Productive Maintenance)に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
TPM(Total Productive Maintenance)、日本語でいうと、総合的設備管理です。まずは、この意味を見てみましょう。
総合的設備管理(そうごうてきせつびかんり、TPM;Total Productive Maintenance)とは、企業などにおいて、製造設備の保守管理を総合的に行い、設備停止時間の減少を目指し、生産性の向上を計る活動。1971年に日本プラントメンテナンス協会(のちの日本プラントメンテナンス協会)により提唱された。アメリカ合衆国のPM(Productive Maintenance)がもとになっているが、活動範囲を設備管理部門に限定せずトップから第一線まで全員参加で推進するところに特色がある。1971年にトヨタグループの日本電装(のちのデンソー)が日本プラントメンテナンス協会のPM賞を受賞したことをきっかけにトヨタグループ各社から普及が始まった。日本語では「全員参加の生産保全」と訳されることもある。
内容[編集]
総合的設備管理は、設備効率を最高にすることを目標にして、設備の一生涯を対象としたPM(予防保全)のトータルシステムを確立し、設備の計画部門、保全部門、使用部門などのあらゆる部門にわたって、トップから第一線従業員にいたるまで全員が参加し、動機づけ管理、すなわち小集団活動によりPM(予防保全)を推進することをいう。
- 個別改善(ロス削減のための設備の改善)
- 自主保全(オペレータの保守作業の分担)
- 計画保全(保守作業の適切なスケジュール管理)
- 教育訓練(保全技能に関する教育と訓練)
- 初期管理(開発・設計段階での手順の明確化など)
- 品質保全(設備の保守管理による製品の品質確保)
- 管理間接部門活動(事務部門や開発部門の生産部門への支援など)
- 安全・環境管理(無事故・無災害・環境への配慮)
「総合的設備管理」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年3月22日 (火) 09:43 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B4%E6%8E%A5%E5%8E%9F%E4%BE%A1%E8%A8%88%E7%AE%97
予防保全に対して、トップから下まで全員参加で進めていきましょうっていう施策ですね。様々な知識に波及する話題ですので、問題文を通して覚えていきましょう。
a 設備の高度化・複雑化に対応するために、生産部門と独立して保全部門を強化することが故障の未然防止につながる。
基本は、「設備の計画部門、保全部門、使用部門などのあらゆる部門にわたって、トップから第一線従業員にいたるまで全員が参加」というように、全部門・全員参加が基本です。生産部門と独立して保全部門を強化してはいけません。よって、誤りです。
b 保全の技術・技能を高め、設備の MTTR をより長く、また MTBF をなるべく短くするような活動を進めることにより、故障ゼロ、不良ゼロを目指す。
MTTRとMTBFが出てきていますが、ここでは計算に関することは出てきていないので、意味合いだけとらえておきましょう。MTTRは、修復されるまでの平均時間つまりは、どれくらい非稼働状態が続くかということですね。そして、MTBFがどれくらいの間隔で故障をするのか。どれくらい稼働は連続できるかですね。
平均修復時間(へいきんしゅうふくじかん)とは、あるシステムに障害が発生してから修復が完了するまでの時間の平均値のこと。平均復旧時間(へいきんふっきゅうじかん)とも言い、英語のmean time to recoveryからMTTRと略される。
また、故障したものを修理して回復するまでの時間として平均修理時間(Mean Time To Repair)とも言われる。機器が修理のしやすさを考慮した設計がされているか、修理のために事前に体制が整った準備がされているか、修理する技術者の能力などの指標とも言える[1]。
修理時間の合計を障害の回数で除して求められる。この値が小さいほど、障害が発生してから復旧するまでの時間、つまりシステムがダウンしている時間が短いということであり、それだけ可用性が高いシステムということになる。
平均故障間隔(MTBF)が安定した稼働時間の指標なのに対して、MTTRは故障に対処する即応性の指標とも言える。
「平均修復時間」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年11月5日 (火) 10:07 UTC、URL: 平均修復時間 - Wikipedia
平均故障間隔(へいきんこしょうかんかく)とは、機械システムや情報システムなどにおける信頼性(Reliability)をあらわす指標となる数値。英語のMean Time Between Failure(s)からMTBFと略される。
概要
字義通り、故障から次の故障までの平均的な間隔を表している。言い換えると連続稼働できる時間の平均値である。つまり、MTBFの数値が大きいほど信頼性の高いシステムであるといえる。また、故障率はこの値の逆数で、故障率 = 1 / MTBFとなる。
故障しても修理することで再使用できる修理系システムに用いられる語であり、修理できない非修理系システムの故障寿命をあらわすには平均故障時間 (Mean Time To Failure、略称:MTTF)が用いられる。
よく勘違いされることではあるが、MTBFは耐用寿命をあらわす指標としては有用ではない。推定寿命や耐用年数を算出するには加速度試験(加速劣化試験)などに頼らねばならない。
種類
MTBFには連続動作時(CCS)と間欠動作時(ICAS)の2種類がある。通常CCSの方が条件が厳しくMTBFが短くなるが、蛍光灯・HDD・ブラウン管テレビ・自動車(発進加速時)・飛行機(離陸時・与圧時)などでは起動時に大きい負荷をかけるためCCSよりICASの方がMTBFが短くなることがある。
原子炉(停止時)・高炉(停止時)・飛行機(着陸時)・コンピュータ(シャットダウン)などでは停止時にも大きな負荷がかかるため、ICASでのMTBFが短くなる傾向がある。
算出方法
MTBF = システムの稼働時間 / 故障回数 で求めることができる。
実際にはある特定のシステムを何時間も監視するのではなく、同じシステムを何個も監視し、個々の動作時間を合計した総動作時間を使ってMTBFを算出する。例えば1個のシステムについて100万時間の稼働時間中、10回故障したと仮定すると、MTBFは10万時間であることが分かる。しかし100万時間(約114年)ものあいだシステムを監視し続けることは現実には不可能である。そこで実際には同じシステムを10万個用意するなどして100時間(約4日)だけ監視することで延べ1000万時間稼働したと仮定する。この100時間のあいだに10万個のうち100個が故障したならば、やはりMTBFは10万時間であることが分かる。
上述の2つの例はMTBFが同じであるにもかかわらず、直感的には前者の方が信頼性が高いように思える(誕生日のパラドックス)。これはMTBFの算出方法では磨耗や経年劣化の程度を考慮しないためで、後者の稼働時間を合算する方法では統計学的・論理的には正しいが、現実的には誤った指標となってしまう可能性が高い。MTBFが感覚上の故障間隔と乖離があるのはこのためである。
「平均故障間隔」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年10月23日 (土) 06:43 UTC、URL: 平均故障間隔 - Wikipedia
「MTTR をより長く、また MTBF をなるべく短くする」とありますが、まったくもって逆ですね。修理時間を長くしては駄目ですし、稼働時間短くしてはいけません。よって、これは誤りです。
c 設備総合効率は設備の実力を把握するための指標で、 7 大ロスを数値化したものである。
設備総合効率については、すでに出てきていますね。念のため、もう一度、Wikiを確認しておきましょう。
設備総合効率(せつびそうごうこうりつ、英: overall equipment effectiveness, OEE)は、生産設備の稼働効率に関する階層化された指標である。その結果は汎用的であり、異なる産業であっても比較することが可能である。公益社団法人日本プラントメンテナンス協会によって開発・提唱された。
OEEは、リーン生産方式を採用して効率化を図る際の重要業績評価指標(KPI)の1つとして使われる。また、OEEには6つの指標があり、その内2つが上位の指標で、4つが下位の指標である。
「設備総合効率」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年1月3日 (月) 16:38 UTC、URL: 設備総合効率 - Wikipedia
そして、7大ロスというのは何でしょうか?これは設備の効率を落とす7つの原因のことで、以下の7つがあります。
- 故障ロス
- 段取り・調整ロス
- 刃具交換ロス
- 立上りロス
- チョコ停・空転ロス
- 速度低下ロス
- 不良・手直しロス
あえては説明は必要は無いでしょう。稼働時間関連については、すでに話をしていましたが、いまいちど確認しましょう。
- 操業時間:設備が稼働し得る時間。
- 負荷時間:操業時間から休憩時間やメンテナンス時間を除いた時間
- 稼働時間:負荷時間から故障時間などを除いた時間
- 正味稼働時間:稼働時間から性能劣化を加味した時間
- 価値稼働時間:正味稼働時間から不良品を作り出している時間や、作り直している時間などを差し引いた時間
操業時間と負荷時間の間に差し引かれる時間は、計画的な休憩などのため、ロスにはカウントされません。負荷時間から価値稼働時間の間の差分が、ロスとなります。
負荷時間 - 稼働時間 の間のロス
ここに当てはまるのが、7大ロスの1~4です。
- 故障ロス
- 段取り・調整ロス
- 刃具交換ロス
- 立上りロス
稼働時間 - 正味稼働時間の間 のロス
ここに当てはまるのが、チョコ停・空転ロスや速度低下ロスです。
5. チョコ停・空転ロス
6. 速度低下ロス
正味稼働時間 - 価値稼働時間の間のロス
最後が、 以下です。
7. 不良・手直しロス
そして、これらすべてを踏まえた効率の指標が、設備総合効率です。
設備総合効率 = 価値稼働時間 / 負荷時間
で表されます。よって、これが正解です。
d トップから第一線従業員に至るまで全員が参加し、重複小集団活動により実施する。
小集団活動は分かりますが、重複小集団活動とはなんでしょうか?これは小集団活動の形態であり、仮想化された小集団活動で、各グループのリーダーが上位の小集団活動のメンバーとして参加して、全社員が小集団活動を行うための形態になります。
よって、これが正解です。
以上より、a 誤, b 誤, c 正, d 正,となり5が正解となります。