令和4年度 第1次試験問題 運営管理(オペレーション・マネジメント) 第十七問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

 

生産保全の観点から見た保全活動に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

生産保全に関してですね。混合しやすい用語が多いので、しっかりと覚えておきましょう。そもそもで生産保全とはなんでしょうか?生産を?保つ?安全?

 

設備とは当然ながら経年劣化していき、いつかは使えなくなり、取り替えなくてはいけません。これに備えていると、備えていないでは、雲泥の差が生まれていきます。定期点検しながら使用することで、大きな故障になる前に修理することで、安全かつ安くメンテナンスができるのは言うまでもないですね。

 

このような設備のライフサイクル全般を、安全に計画的に保持していくことを生産保全と言います。生産保全にはいろいろな種類の活動があります。ライフサイクルの時系列通りに覚えていきましょう。

やや、この用語シリーズを考えた人は、わざと覚えてにくくしているんではないかと思ってしまう。

 

■保全予防

まず設備導入期において、信頼性の高い設備をそもそもで導入することが重要です。初期故障が無いことはもちろんのこと、導入後のアフターケアの手厚さも重要です。自分たちでの定期メンテナンスのやりやすさなどを指標にして、設備を選定していくことが重要です。この活動を保全予防と言います。

 

■改良保全

気を付けていてても、故障や事故は起こるものです。そういったときに、次には起きないように設備を改良していくことも重要です。このような活動を改良保全と言います。

 

■予防保全

定期的に設備を点検して、故障を未然に発見します。また経年劣化が見えてきている部品を事故が発生する前に交換して、未然に危険を防ぎます。こういった活動を予防保全と呼びます。最初の保全予防と混合しやすいので注意です。

さらに予防保全は以下の2種類に大別されます。

●時間計画保全

これは過去の経験や知見、メーカーの仕様などを加味して、設備を計画的に交換するやり方です。

●状態監視保全

設備の状態を定常的に監視して、部品を交換することです。無駄な部品交換などがなくなるので、予算が少なく済む場合が多いです。

 

■事後保全

予防保全の対極的にある保全活動になります。劣化して故障が発生した事後に、交換などのメンテナンスを行います。いわば最終手段の保全活動であり、事後保全を減らしていくことが重要です。事後保全には以下の2種類があります。

●機能停止型保全

設備が完全に動かなくなってしまうタイプの故障です。動かない間、完全に生産が止まってしまうため、大きなダメージになります。早急に交換の必要があります。

●機能低下型保全

止まることは無いが、機能が低下し、必要な速度、品質を保てない場合があります。

 

以上を踏まえて、では問題文に入りましょう。

 

1.あらかじめ代替機を用意し、故障してから修理した方がコストがかからない場合は、予防保全を選択する。

予防保全は定期的に検査して、事故が起こる前にあらかじめ部品を交換する活動でした。よって、誤りです。この説明は事後保全ですね。

 

2.過去に発生した故障が再発しないように改善を加える活動は、事後保全である。

再発しないように改善する活動は改良保全でしたね。誤りです。

 

3.設備の劣化傾向について設備診断技術などを用いて管理することによって、保全の時期や修理方法などを決める予防保全の方法を状態監視保全という。

これは正しいですね。予防保全のひとつの状態監視保全にあたります。これが正解です。

 

4.掃除、給油、増し締めなどの活動は、設備の劣化を防ぐために実施される改良保全である。

このような定期的な設備のメンテナンスは、予防保全ですね。誤りです。

 

 以上より、3が正解になります。