令和4年度 第1次試験問題 運営管理(オペレーション・マネジメント) 第十二問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

 

在庫管理に関する用語の記述として、最も適切なものはどれか。

在庫管理についてです。ここは問題をひとつひとつ読んでいきましょう。在庫管理に関するいくつかの指標が出てきます。少しマイナーなものもありますが、初見でもなんとか想像がつくものが多いかと思います。

 

1.顧客へのサービス率は、( 1 - 返品率)によって求められる。

まず、顧客へのサービス率とは?これは、顧客からの需要に対して、ちゃんと供給することができた割合です。在庫が切れて欠品してしまったら、その需要に対して供給できたことにはなりません。その求め方は、

 サービス率 = 1 - 欠品率

となります。よって、(1 - 返品率)とは違います。誤りです。

 

2.在庫回転率とは、標準在庫量を使用実績量で除したものである。

回転率とは、在庫が売れて、仕入れてというサイクルを経て、何回入れ替わっているのかということです。その求め方はいろいろありますが、、、

 期間売り上げ原価 / 期間在庫金額

 出庫した累計総数 / ある期間の平均的な在庫数

売り上げた総数・総額を、ある期間の在庫数や在庫金額で割ってあげることで求まります。標準在庫量を使用実績量で除したものではありません。誤りです。

 

3.在庫引当とは、注文に対して在庫残高から注文量を割り当てて引き落とすことである。

在庫引当についてですが、この説明のとおりです。在庫が100個あって、Aさんから10個の注文が入った場合、100個から10個を確保して、その注文に割り当てて確保しておくことを引当と言います。Aさんが実際に購入するまでは、当然、90個の中から商売をする必要があります。よって、選択肢の説明は正しいです。

 

4.棚卸資産回転期間とは、棚卸を行った時点で保有している製品を在庫している期間のことである。

やや、難しめの用語です。しかし、ここに限らず重要な用語であるので、しっかり覚えておきましょう。まずは、棚卸資産について、正確に覚えましょう。

棚卸資産 

棚卸資産(たなおろししさん、inventory)は、会計用語の一つで、販売目的と何らかの形で結びついている財、またはサービスを指す。有形のものもあり、無形のもの(サービスなど)もある。販売を意図して保有しているものも、そうでないものもある。正常営業循環基準により、必ず流動資産となる。

分類

棚卸資産は棚卸しを行うことによってその有高が確定される費用性資産であり、下記4種類に分類される。なお棚卸高は棚卸評価額と同義語である。

  • 通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役(商品、製品)。
  • 販売を目的として現に製造中の財貨又は用役(半製品、仕掛品)。
  • 販売目的の財貨または用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨(原材料、貯蔵品)。
  • 販売活動および一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨(消耗品)。

また企業会計基準では次の分類を定義している。

  • 通常の販売目的で保有する棚卸資産
  • トレーディング目的で保有する棚卸資産

トレーディング目的で保有する棚卸資産

トレーディング目的で保有する棚卸資産は加工や販売ではなく市場での価格変動による利益獲得(トレーディング)を目的として保有する棚卸資産である。例として原材料・小売商品として利用しない金地金が挙げられる。

本資産はその性質から売買目的有価証券に関する取扱いに準じて扱われる。

 

「棚卸資産」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年9月2日 (金) 04:50 UTC、URL: 棚卸資産 - Wikipedia

 まあ、結局、売り物として所有している資産と言えますね。そしてその回転期間とはいかなるものでしょうか?これは、ざっくり言うと、この売り物として所有している資産が、どれくらいの期間で、実際に売り出すことができたのかという指標です。

つまり、仕入れた商品が、どれくらい在庫として抱えていたのかということです。もちろん、在庫で抱えている期間が長いと、そのぶん保管費用もかかりますし、すぐに売れてくれるのが、うれしいので、この回転期間は短い方が良いということになりますね。その計算方法ですが、以下のように求められます。

 棚卸資産 / 売上高(月平均)  

つまりは、上記の場合は棚卸資産を売上で除することで、どれくらいでさばけたのかが分かります。100個分の商品があって、月の売り上げが120個分あったら、その100個は100/120 (か月)で売れたことになりますね。さて、問題文に戻ります。

棚卸を行った時点で保有している製品を在庫している期間」と言っていますが、これは違いますね。誤りです。 

 

5.発注残とは、発注の平準化のために、次の期に発注するために残している予定発注量のことである。

発注残とは、発注を出したけど、まだ未納なもののことです。在庫の都合から半分だけ分納された場合、もう半分が発注残になります。よって、説明のような平準化を目的としていないです。よって、誤りです。

 

以上より、解答は3になります。