令和4年度 第1次試験問題 運営管理(オペレーション・マネジメント) 第十問 解答と解説

解答

 

1.

 

解説

 

今回は発注方式についてです。発注方式は、まず以下の6種類の発注方式を覚えましょう。

  1. 定量発注方式:
    現在抱えている在庫が決められた数を下回ったら、決められた量だけ発注します。在庫管理も単純なので、あまり手間がかかりません。ただし、急激に売れた場合など、需要の急激な変化に対応することが難しいです。それゆえに、出荷量が安定的な商品に向いた発注方式です。
  2. 定期発注方式:
    週に一度など、定期的に、そのタイミングに必要な量だけ発注します。定期的に必要な量を見積もり直すので、欠品を防ぐこともでき、また、無駄に発注することを防ぎます。しかし、どれくらいの量が必要なのか検討する必要があり、都度の手間がかかります。
  3. 簡易発注方式:
    なるべく発注の手間を抑えたい場合の手法です。これには、いくつか手法があり、代表的なもので、ダブルビン方式などがあります。ダブルビン方式は、在庫を2つの箱(またはビン)に入れておいて、片方が空になったら、1箱分発注するというものです。このような簡易的な在庫管理をする方式を、総じて、簡易発注方式と呼びます。安価なものなどに適用されます。
  4. (不)定期不定量発注方式:
    定量発注方式と、定期発注方式を合わせた考え方です。在庫の発注点を決めてそれを下回ったら、その時に必要な量だけ発注します
  5. 同期化発注方式:
    あらかじめ業者と契約を結んで、定期的(毎日とか毎週とか)に、決まった量だけ納品してもらうやり方です。在庫や需要が意識された納品は難しいため、欠品や在庫過多になるリスクがあります。安定的な売り上げが見込める商品に適用されます。
  6. 分納発注方式:
    過去の売れ行きから、製造計画を割り出し、分納してもらうやり方になります。季節性の品物などにも対応でき、在庫過多になりにくいやり方と言えます。

 

では、問題文に進みましょう。

 

1.安全在庫は欠品を起こさないために決めるものであるが、保有在庫は安全在庫として決めた量を下回ることがある。

安全在庫とはなんでしょうか。

安全在庫 

安全在庫(英:Safety stock)とは、欠品を防ぐために設定する在庫である。当期生産期間後の在庫と、次期生産期間における予測必要個数に、余力在庫をもたせる。

もし、毎週決められた曜日に部品の発注をし、安全在庫を比率ではなく個数で設定する場合、安全在庫量は以下の数式となる。

当週の在庫量+発注量-翌週の総所要量=安全在庫量

 

「安全在庫」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年1月29日 (土) 16:03 UTC、URL: 安全在庫 - Wikipedia

 

安全在庫とは、欠品を防ぐために設定する、最低ラインの余裕を持たせた在庫量です。しかし、当然ながら、この余裕は急激な需要の増加により、超える場合もあります。その場合、保有在庫はこの設定された安全在庫量を下回る場合があります。

よって、正しいです。

 

2.経済的発注量は、累積入荷数量と累積出荷数量に基づいて決まる。

経済的発注量についてです。こちらも、Wikiを見てみましょう。 

経済的発注量 

経済的発注量(けいざいてきはっちゅうりょう、Economic Order Quantity または EOQ)とは、定量発注方式において、発注費用と在庫費用の総額を最小化する1回あたりの発注量のこと。経済発注量最経済発注量経済的ロットサイズともいわれる。

この手法は、F. W. Harrisにより1913年に考案され、R. H. Wilsonの研究によって進化していった。

 

「経済的発注量」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年3月8日 (月) 15:59 UTC、URL: 経済的発注量 - Wikipedia

Wikiにあるように、発注費用と在庫費用の総額を最小化する1回あたりの発注量のことです。求め方はやや複雑なのでここでは省きますが、以下のパラメータから求める値です。

  • Q = 発注量(変数)
  • D = 一定期間内の需要
  • E = 発注ごとに発生する発注費用 (単位あたりの費用ではない)
  • H = 一定期間内の単位あたり保管費用

 以上より、累積入荷数量と累積出荷数量で決まるわけではなく、これは誤りとなります。

 

3.ダブルビン方式の発注量は、納入リードタイムを考慮して、その都度、決める。

違いますね。単純に片方のビンがなくなったら、その分発注するという簡易的な方式です。 誤りです。

 

4.内示とは、発注後に納入日を提示することである。

内示って、人事上の用語がパッと思い浮かんでしまいますが、これは違います。

発注における「内示」とは、特に納入までにリードタイムが長いものに対して、あらかじめ発注数量予測などを仕入先へ、情報を伝えておき、仕入れ先にその準備をさせておくやり方です。よって、問題文は誤りですね。

 

5.発注点とは、発注をする時点を示し、通常、日付のことである。

上でも出てきましたが、発注点とは、定量発注方式などで、設定した在庫量で保有在庫がこれを下回ったときに発注をかける点のことを言います。たいていの場合、これは在庫量を指します。よって、誤りです。

 

 

以上より、解答は1となります。