令和4年度 第1次試験問題 運営管理(オペレーション・マネジメント) 第一問 解答と解説

解答

 

2.

 

解説

 

管理指標に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 管理指標に関する問題です。しかし、管理指標をwebで検索してもなんだかよく分からないです。それもそのはずで、そんな管理指標は様々な分野で指標が存在して、ここで関係する運営管理の世界における管理指標以外にも様々な指標が存在します。

一般的な管理指標を、やみくもに見ても仕方ないので、やっぱりここも問題を中心に覚えていきましょう。

 

1.検査によって不適合と判断された製品の数を検査によって適合と判断された製品の数で除して不適合品率を求めた。

まず「不適合品率」です。不適合とは、製品前のチェックで本当に出荷して良いのか検査を行い、何等かの基準を満たしていないことを不適合と言いますね。そして、不適合の全体割合を不適合品率と言います。

ということは、不適合品率の求め方は、不適合と判断された製品の数を、製品の全体数で除することにより求まるということになります。説明文のように適合と判断された製品で除した数ではありません。よって、これは誤りです。

 

2.産出された品物の量を投入された主原材料の量で除して、歩留りを求めた。

歩留り」おそらく、日常生きてきて、「歩留り」とはほぼ聞かない言葉ではないでしょうか。最初読み方も分かりませんでした。ちなみに「ぶどまり」と読みます。決して、”ほどまり”ではないです。

 

歩留まり 

歩留まりあるいは歩止まり(ぶどまり)とは、製造など生産全般において、「原料素材)の投入量から期待される生産量に対して、実際に得られた製品生産数(量)比率」のことである。 また、歩留まり率(ぶどまりりつ)は、歩留まりの具体的比率を意味し、生産性効率性の優劣を量るひとつの目安となる。例えば、半導体製品では、生産した製品の全数量の中に占める、所定の性能を発揮する「良品」の比率を示す。歩留まりが高いほど原料の質が高く、かつ製造ラインとしては優秀と言える。

英語の yield rate (イールドレート)は、日本語の「歩留まり」および「歩留まり率」とおおよそ同義。

「歩留まり」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年2月7日 (月) 15:57 UTC、

URL: 歩留まり - Wikipedia

 

ということで基本的には、原料などのインプットから生産物がどれくらい出来上がるのか?アウトプットの割合を示すものということですね。その具体的な比率は、歩留まり率と言うと。

 

さて問題文を見てみましょう。「産出された品物の量を投入された主原材料の量で除して」なので、まさに歩留まりの定義に当てはまりますね。これが正解です。

 

3.実績時間を標準時間で除して、作業能率を求めた

よく効率と能率は、その差異が話題になることがあります。効率とはなんでしょう?効率とは、ある作業を行った際に、それに費やした労力(特に時間)と、何か基準(時間)との比率です。例えば、Aさんは自作PCを組み立てるのに2時間かかった。1年後、Aさんは修行を積んで、1時間で組み立てることができるようになった。この比較したときに、1年後の方が効率が良いと言います。この場合、1年前にかかった時間が効率の基準となっています。

さて、作業能率は何でしょう?例えば標準的に、10時間かかる作業があったとします。これをAさんは11時間かかり、Bさんは9時間かかります。この時、Bさんは作業能率が高いと言い、Aさんは低いということになります。その際、作業能率は、以下のように求められます

 Aさんの作業能率:10 / 11 = 0.9

 Bさんの作業能率:10 / 9 = 1.11

つまり、標準時間を、実績時間で除する形になります。作業能率は高ければ高いほど作業能率が高いと言えます。

問題文の求め方は完全に逆ですね。

 

4.投下した労働量をその結果として得られた生産量で除して、労働生産性を求めた。

労働生産性とはなんでしょうか?ざっくり言うと、従業員1人あたりの生産量を表します。細かいところで、実は労働生産性には大きく2種類あります。「付加価値労働生産性」と、「物的労働生産性」です。労働力と生産量の関係性を表すのは、物的労働生産性です。ここでは、物的労働生産性の話だけします。

上記にも書きましたが、単純には従業員1人あたりの生産量です。つまり、全生産量を、労働者数で除してあげれば、これが求められますね。問題文では、逆で、生産量で除しています。よって誤りです。

 

5.副材料、消耗品、エネルギーなどの消費量を工数または製品量で除して、作業密度を求めた。

作業密度は、作業者一人あたりの単位時間あたりの作業量です。え、それって労働生産性と変わらなくない?となってしまいますが、これは違います。労働生産性の場合、全体の生産量を労働力で割っていますが、この作業密度とは、個々の従業員の比較に用いられる指標であり、個人の生産量を単位時間で割る形になります。よって、AさんとBさんで作業密度はそれぞれ異なります。

問題文では、消費量を、工数・製品量で割っており、誤りです。

 

以上より、解答は2です。